『初がすみ』は髙橋玉舟(1933 - 2021)の遺句集。序文:村上喜代子。
著者は元「いには」会員。
角栄の産土で摘む蕗の薹
妻の得手大ぼたもちの彼岸かな
はるかにもかるき会釈を花明り
春風や距離を摑めぬ案内図
強東風や野鍛冶に匂ふ金気火気
待ちてなど居らぬ父の日然りながら
越後頸城野(くびきの)マリア観音黴びゐずや
炎帝や目に焼きつきし胃の腫瘍
炎暑も佳し甥の選挙のふるさとへ
眼光が鬼やんまその総てなり
つゆけさや埴輪と埴輪めく翁
山茶花や海光朝の庭に来る
寄鍋やすみやかならぬ吾が咀嚼
初明り群礁に似て峡(たに)百戸
左義長や火のかけらとて神のもの
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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