『片瀬』は菅美緒(1935 - )の第4句集。
著者は「晨」「梓」「航」同人。
榠樝の香立つ旅鞄開けるたび
脊柱管狭窄症手術
昼寝覚病室といふ白き箱
秋の蛇尺八の音のどこよりか
鶏頭や温気(うんき)動かぬきのふけふ
春一番アラビア文字の貨物船
研ぎたての刃先を入るる西瓜かな
雪しまき椀に漆を塗り重ね
手を合はすマリアに乳房秋高し
梅探りゐて元禄の仏たち
春の日や黄金の鯉に白きひれ
昼顔の五つ六つ浮く小笹かな
しんと残暑乾きし物をたたみゐて
突風のあとはさらりと薄の穂
水族館の裏は海原赤とんぼ
煤払ふボードレールも西行も
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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