『赤い金魚』は茅根知子(1957 - )の第2句集。解説:仁平勝。
著者は「絵空」同人。
はるばると来てたんぽぽの時間かな
朧夜の部屋いつぱいに鳥の羽根
月涼しヘアピンカーブ曲がるとき
珈琲に水面のあり今朝の秋
少年のひとりがやがて虫売に
夏服の転校生がやつて来る
眩しさの中に避暑地を置いてくる
長き夜の星が小さくなつてゆく
掃苔や老舗の餡の話など
裏窓を猫が出て行くクリスマス
カナリアを埋めたところにチューリップ
どこからも遠くに見ゆる熱帯魚
新しき水の金魚の息づかひ
凩に透明になる子どもたち
金星のあたりに枯れてゐる欅
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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