『起き臥し』は浦戸和こ(1937 - )の第1句集。序文:水内慶太。
著者は「月の匣」同人。
ヴェネツィア 二句 より
ゴンドラの螺鈿夏日を囃したる
ブルーモスク
回青の文字うららけき柩あり
黄昏の鎖骨なでゆく山の霧
かまくらに菜の花色の燭零す
家族とふ歪な器冬北斗
ニコライの鐘に適ひし初御空
おのおのの山河ありけり雑煮椀
鬼灯や琉球ガラス泡かかへ
骨切りの音に旅愁や牡丹鱧
縒り甘き糸の七色春の雨
路地裏といふ虫の世に迷ひ込む
橋にゐて遠き橋見る秋の暮
はてのなき自問自答や水母群る
彫り深き龍を楯とし冬の寺
夏の蝶会話に割つて入り来る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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