『未完』はしかい良通(1931 - )の第5句集。
著者は「松の花」顧問、「はまなす」同人
蛇逃げてロールスロイスありにけり
大空を水の流るる春の昼
秋高し抱けと手をあげ嬰立てり
背後より手を出し甘茶貰ひけり
麦藁帽人間小さくなるばかり
おほうみの端に漂ふ七夕竹
わが家の建て替へ工事はじまる
ふりむけば吾家が更地梅の花
こゑにせず五千石呼ぶ青なつめ
一悪や燃ゆる秋刀魚に目逸らさじ
天網を暗しと思ふ敬老日
夕桜己にもどりたくはなし
初刷の重さ平和もこの程度か
鏡に映るまでは青年万愚節
朝刊で爪研ぐ二百十日の猫
微笑みを忿怒と思ふ石蕗の花
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。