『シーグラス』は金子敦(1959 - )の第6句集。栞文:仲寒蝉。
著者は「出航」会員。
吸殻の彷徨つてゐる夜の噴水
釘を打つ音すきとほる野分あと
ネイルアートを見せてもらひぬ星祭
秋蝶に鋭き崖のやうな翳
書割の海を負ひたる菊人形
トーストに大盛りの餡山笑ふ
ハムエッグの端反り返り蝉の声
母校の門より出て来たる夜学生
露の世のスマートフォンの重さかな
缶切の要る缶詰や終戦日
骨だけとなりし秋刀魚のまなこかな
リヤカーに載せて盆梅みな傾ぐ
ナポリタンは夕映えの色昭和の日
下闇を出て黒猫に戻りけり
大鍋に灰汁の浮き立つ野分かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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