『冬の舟』は谷原恵理子(? - )の第1句集。序文:岩淵喜代子、跋文:辻村麻乃。
著者は「ににん」「篠」同人。
風紋を散らして一歩春の靴
山羊白き子を生みにけり寒の明
山河には太古の匂ひ冷し馬
能舞台一歩は雪を踏むやうに
眉にふれ淡海にふれ春の雪
シュレッダーの飲み込む文字や小鳥来る
ゴンドラや夏草に足ふれながら
蝉鳴くや次の電柱まで生きる
水押して鯉群れてをり花曇
白亜紀の貝一億の秋思持つ
子の笛がまだ引き出しに神の旅
ヒーローの衣装を濡らす春の雪
ポルトガル菓子に誘はれ梅日和
蛭避けの煙草薫らせ僧急ぐ
背に熱き冬日硝子を捨てに行く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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