『聖樹』は菊池洋勝(1971 - )の第1句集。序文:津野利行、跋文:北大路翼。
著者は先天性筋ジストロフィーを持つ。
蛤の口ほど開かぬ顎の骨
春爛漫ナースに糞を褒めらるる
嗅いだことなき土の香や苗木市
動かせぬ体に重き夏蒲団
猫動画ばかり見てゐるけど死ぬの
余命半年の変態髪洗ふ
採血の血を持ち帰る薔薇の家
素麺の汁に加へるオリーブ油
停電が続けば呼吸器が止まる
車椅子に載るだけ載せて西瓜来る
レシートの皺を伸ばすや枯蓮
両肺を病む雀蛤となる
立冬に下げる溲瓶のたくましき
口述で新年の句を頼みたる
大寒や釣銭口を探る父
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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