今月は前半に大量の選句が集中したのと、相変わらず不調の日が多くて、あまり面倒なものは読んでいない。
平岡正明『タモリだよ!』は物件として懐かしかったので買ってしまった。後半に江戸川乱歩賞受賞作の古い講談社文庫が並ぶが、この辺も例の黒い背表紙を見ると昔通っていた書店の中を思い出す。
伊藤計劃『ハーモニー〔新版〕』ハヤカワ文庫・2014年(日本SF大賞)
《21世紀後半、“大災禍”と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した――それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはずの少女の影を見る――『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。》
ケネス・クラーク『芸術と文明』法政大学出版局・1975年
《西欧文明の展開を芸術、哲学、科学と工業技術等の偉業を通して考察し、人間の創造的営為と時代精神とのかかわりを生き生きと描く。口絵=カラー48頁・モノクロ238点》
皆川博子『猫舌男爵』ハヤカワ文庫・2014年
《棘のある舌で少女を舐め苛む怪異な男爵の物語……? 日本の稀覯本『猫舌男爵』の翻訳に取り組む外国人翻訳家ヤン。だが、言葉と文化のギャップは誤解と憶測を呼び、ヤンと本の関係者たちを思いがけない運命へ導く。爆笑必死の表題作他、死期が近づくと水槽に入る奇妙な世界の死生観と孤独を描く「水葬楽」、女性画家の生涯を死亡時点から遡ることで驚愕の真実が明かされる「睡蓮」等、小説の無限の可能性を広げる奇談集。》
収録作品=水葬楽/猫舌男爵/オムレツ少年の儀式/睡蓮/太陽馬
篠田浩一郎『ゲーテの木―戦闘的ヒューマニズムの文学』晶文社・1972年
《篠田浩一郎は、生と表現との接点に、つねにその思考を集中してきたようである。その場合、生はつねに表現によってその構造を明らかにされねばならず、表現はつねに生によってその根拠を問われねばならないのであって、このような相互作用が生み出す或る緊迫したドラマが、篠田浩一郎のもっとも内奥の動機をなしていると言ってよい。彼がロマン主義に対して、終始一貫してつよい関心を示しているのも、ロマン主義においては、この生と表現という問題が、きわめて直截かつ鮮明な姿をとっているからであって、彼は、そこに、この問題の原型を見出し、この原型への執拗な考察を通して、現在における生と表現のかかわりを、はっきりと照らし出そうとしているのだ。そして、現在、彼が「ゲーテの木 詩を書くことは犯罪か」のなかで触れているように、この問題は、かつてないほどの危機的な相貌を呈している。そして人びとは、この危機的な相貌を直視することなくしては、一歩も考えを進められなくなっている。篠田浩一郎のこの本は、このような危機に向っての勇敢な一歩であり、「漱石と荷風」のごときエッセーは、この問題のわが国におけるありようについての精密な確認である。
粟津則雄》
平岡正明『タモリだよ!』CBS・ソニー出版・1981年
《一撃必笑!!
ウハハの陰にムムッあり。タモリの芸は高級品。ひょっとすると毒入りかもね。目からウロコのタモリ論、ここに登場。》
司馬遼太郎『手掘り日本史』集英社文庫・1980年
《“私の書斎には友人たちがいっぱいいる”「夏草の賦」「竜馬がゆく」「峠」など個々のロングセラー作品を手がかりに、歴史を賑わせた英雄・英傑の人間像を甦らせ、更には膨大な資料に貫かれた鋭い史眼と著者独自の発想の原点を解き明す。司馬文学の核心に触れる語り下しエッセイ。
解説・江藤文夫》
多田道太郎『物くさ太郎の空想力』角川文庫・1980年
《水面に広がる水の輪は、投げた小石の大小もさることながら、池そのものの深さや大きさにも左右される。
ここに集められた短文のかずかずは、ささやかなきっかけで広がる思索の輪が同じであることを感じさせる。
深い知識の集積のもとにできる輪は、深いうねりを長時間にわたって作りだす。タイトルに表わされる軽妙さとはうらはらに、読後に得られるものの比類ない底深さは驚くばかりである。》
多田道太郎『遊びと日本人』角川文庫・1980年
《著者は、芥川の“父は義のために遊んでいる”という言葉を“義によって遊ぶ”と記憶していた。この感覚こそ、現代日本人の遊びの本質を衝いている――つきあい麻雀・ゴルフetc――。
自らの記憶違いを導入にして展開する“遊び論”は、日本人の遊びの性向が、歴史との関わりの中で育まれたことを明快に証明する。反面、著者の遊びに対する感情・体験の飾らぬ表出は、人間が遊びをするにあたって非論理的にならざるをえないほど、魅力をもつものであることを証明もする。》
多田道太郎『日本語の作法』角川文庫・1984年
《はなし言葉とかき言葉、和語と漢語、現代語と古典語。現代日本語は、さまざまな要素がいりまじる不思議な言語なのです。
なにげなくかわす会話や、日常のささいな文字遺いのなかから、著者がひろいあつめた素朴な疑問で綴る本書は、“大和の国は言霊の幸はふ国”(万葉集)の言葉にふさわしく、矛盾や省略で構成される日本語のおもしろさや、むずかしさを笑いとともに語りかける。洒脱な著者ならではの軽妙な言語エッセー。》
山田風太郎『ラスプーチンが来た』文春文庫・1988年
《明治23年、ひそかに妖僧ラスプーチンが来日し、ロシア皇太子襲撃を巡査津田三蔵に教唆―即ち大津事件である―この稀代の怪物と対決するのが、負けず劣らぬ怪男児明石元二郎陸軍中尉。まさに日露戦争の前哨戦でもあった……乃木将軍・二葉亭四迷・内村鑑三にチェホフまで登場して展開される風太郎・明治意外史。 解説・縄田一男》
K・W・ジーター『ブレードランナー2―レプリカントの墓標』早川書房・1996年
《「あのとき宇宙から地球へ逃亡してきたレプリカントは、六人いたのよ」サラ・タイレルの言葉に、デッカードは愕然とした。「タイレル社に侵入しようとしてまず一人が死んだ。そして、あなたが四人殺した。これで五人、でも、もう一人、六番めのレプリカントがいた。あなたにそいつを捜しだして欲しいの…」あのめくるめく事件から9カ月、オレゴン山中の山小屋でのささやかな安息の日日も、レイチェルそっくりの女性、いまやタイレル社の総帥となったサラ・タイレルのこの言葉によって終わりをとげた。拒絶すれば、死―レイチェルの死だ!かくして、2020年8月、荒廃したロサンジェルスを舞台に、デッカードの新たなる探索が開始された。なんとしても謎のレプリカント―六番目のネクサス6型レプリカントを捜しだすのだ、愛するレイチェルを、そして自分自身を救うために…。》(「BOOK」データベースより)
堀田善衞『美しきもの見し人は』新潮文庫・1983年
《年少の頃からの憧れだったアルハンブラ宮殿に立って民族文明の成立の根底を考え、優稚なワットオの絵に生の急ぎと無限の寂寥を知る。ガウディのグロテスクな聖堂に長大息し、“モナ・リザ”になぜ眉がないのかを不思議に思う。――世界を旅し異質の美に接して受けた感動と驚きを生き生きと語った美術エッセイ21編。カラー写真70枚、モノクロ写真22枚を収録した好個の美術入門書。》
アイザック・アシモフ『ミクロの決死圏』ハヤカワ文庫・1971年
《人体を原子の大きさに縮小する! 物体の無限な縮小化を可能にする超空間投影法……だがその欠点は、縮小維持時間がわずか一時間ということだった。米秘密情報部は、それを無限にのばす技術を開発したチェコのベネシュ博士を亡命させたが、途中スパイに襲われた博士は脳出血を起こし意識不明となる。かくてCMDF(綜合ミニアチャー統制軍)本部は、医師、科学者、情報部員ら五名を乗せたミクロ大の潜航艇プロメテウス号を博士の頸動脈から注入して、患部をレーザー光線で治療する作戦をたてた。だが果して60分の間にかれらは任務を全うして帰還できるか?》
ポール・アンダースン『大魔王作戦』ハヤカワ文庫・1983年
《将軍がいった。「これは危険な任務だ。必ずしも志願しなくてもよいが、任務の重要さだけは知ってもらいたい」やれやれ、、つまりいやおうなしに志願しろってことだ。ぼく、米国情報部員マチュチェック大尉は、かくて天下分けめの大作戦にとびこむはめになった。相棒はとびきりの美人、魔女のグレイロック大尉。トロールバーグを占領中のサラセン教主軍に潜入し、かれらの魔神を無力化するのがその任務だ。連合軍の大反撃が成功するかどうかは、ぼくら二人の活躍にかかっていた……科学の代わりに魔法が発達したもう一つの地球を舞台に繰り拡げられる傑作冒険SF》
カート・ヴォネガットJr.『プレイヤー・ピアノ』ハヤカワ文庫・1985年
《すべての生産手段が完璧に自動化され、すべての人間の運命がパンチ・カードによって決定される世界……ピアニストの指を拒絶し、あくことなく自動演奏を続けるプレイヤー・ピアノの世界を描く本書は、『1984年』と『不思議の国のアリス』とのはざまの不可思議な文学空間を生み出した。アメリカ文学の新たな担い手として熱狂的な支持を受けるヴォネガットが現代文明の行方をブラックな笑いのうちにつづった傑作処女長篇。》
咲村観『秦の始皇帝』講談社文庫・1987年
《紀元前二四七年、わずか十三歳で秦王に即位した政(始皇帝)は、韓・趙・燕・魏・楚・斉の六国を次々に滅ぼし長い戦国時代に終止符を打った。時に前二二一年、中国最初の統一国家・秦帝国の誕生である。だが十年後、項羽や劉邦の反乱によって、その基礎は早くも崩れる――中国古代史の謎に迫り、波乱に満ちた始皇帝の生涯を描く壮大な歴史ドラマ。》
A・モラヴィア『ふたりの若者』角川文庫・1970年
《『めざめ』と『反抗』の真のテーマは、単に少年の性へのめざめ、開眼ということではなく、それまで深く分裂していた一人の人間の、性を媒介としての、世界との全体的な和解ということであり、性来孤独と絶望に傾きやすい一つの魂の、幸福と平安の回復ということである》(「あとがき」より)
チャールズ・シェフィールド『星ぼしに架ける橋』ハヤカワ文庫・1982年
《世界最大の橋、台湾橋を建設したばかりの一流工学者ロブ・マーリンは、ロケット王レグロから台湾橋よりもさらに長大な橋の建設を依頼された。地上と静止軌道をつなぐ十万キロにも及ぶ宇宙エレベーターの建設だ。その計画を推進中ふとしたことからロブは20年来疑っていた両親の死因を解く手がかりをつかんだ。謎の生物ゴブリンとレグロのもとで働くモレルがそれを解く鍵らしい。ロブは建設をすすめながら、その秘密を探っていくが……!? 米宇宙航行学協会の会長をも務める科学者作家がその該博な知識を生かし、迫真の筆致で描きだした傑作。A・C・クラークの序文を収録。》
司馬遼太郎『燃えよ剣(上)』新潮文庫・1972年
《幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。
「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。》
司馬遼太郎『燃えよ剣(下)』新潮文庫・1972年
《元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。》
辻邦生『背教者ユリアヌス(上)』中公文庫・1974年(毎日芸術賞)
《ローマ皇帝の家門に生れながら、血をあらう争いに幽閉の日を送る若き日のユリアヌス。やがて訪れる怒濤の運命を前にその瞳は自負と不安にわななく
毎日芸術賞にかがやく記念碑的大作!》
辻邦生『背教者ユリアヌス(中)』中公文庫・1975年(毎日芸術賞)
《けがれなき青年の魂にひたむきな愛の手をのべる皇后エウセビア。真摯な学徒の生活も束の間、副帝に擁立されたユリアヌスは反乱のガリアの地へ赴く
毎日芸術賞にかがやく記念碑的大作!》
辻邦生『背教者ユリアヌス(下)』中公文庫・1975年(毎日芸術賞)
《永遠のローマよ。日の神は今わが生を見棄てられた! ペルシア兵の槍に斃れたユリアヌスは、皇帝旗に包まれてメソポタミアの砂漠へと消えてゆく。
毎日芸術賞にかがやく記念碑的大作!》
F・ロッテンシュタイナー編『異邦からの眺め』ハヤカワ文庫・1981年
《宇密狭しと星々を遍歴し、国々の争いを治め、奸智にたけた暴君や銀河強盗を退治してきたロボット宙道士トルル。だがある日トルルは気がついた。これまで本当に理想的な解決、すなわち完全に幸福な状態を作りだしたことがないのだ! そこでトルルは、完全に幸福な存在を創造しようとするが……ロボット宙道士の奇妙な実験をユーモラスに描いたスタニスワフ・レムの「完世遠菩薩」。美しく、しかも荒涼とした惑星、火星で発見された谷の謎を詩情豊かに描きだしたジェラール・クランの「こだまの谷」など、ヨーロッパSFの魅力と成果をいかんなく発揮した傑作中短篇を収録!》
収録作品=完世遠菩薩(スタニスワフ・レム)/こだまの谷(ジェラール・クラン)/ガドラーニュ観察日誌(J・P・アンドルヴォン)/指輪(スヴェン・オゲ・マセン)/探検隊(ヘルベルト・W・フランケ)/ネモ船長の最後の冒険(ヨゼフ・ネスヴァドバ)/確率神の祭壇(アドリアン・ロゴズ)/おやすみ、ソフィア(リーノ・アルダーニ)/実験場(セーヴェル・ガンソフスキー)/<風神>アイオロスの子、シシフォス(フセヴォロド・イワーノフ)/内気な天才(ワジム・シェフネル)
吉川幸次郎『中国文学入門』講談社学術文庫・1976年
《われわれ日本人にとって、陶淵明や李白や杜甫は身近かに親しまれている。しかし、三千年というとほうもなく長い中国文学史上において、彼らの詩や作品はどのように位置づけられるのか。はたまた、中国文学そのものの特色はどんなところにあるのか。そうした中国文学の特色や性質を、本書は、各時代各ジャンルの代表的な作品に即し、しかも、世界文学という広い視野から平易に解明する。と同時に、文学とは何かをもわれわれに考えさせる。》
多岐川恭『濡れた心』講談社文庫・1977年(江戸川乱歩賞)
《典子と寿利は対照的な美少女だ。感受性に富み、神秘的美しさを秘める典子に対して、寿利は水泳選手らしいおおらかさと豊かな肢体の持ち主。この二人の女子高校生のレスビアンラブと、取り巻く男女間の相克が、戦慄の惨劇を呼び起こした。異色の構成と軽快な筆致が冴える本格推理。第四回江戸川乱歩賞受賞作品。》
藤本泉『時をきざむ潮』講談社文庫・1980年(江戸川乱歩賞)
《三陸の辺鄙な海岸で、双生児と思われる学生の遺体が車の中から発見された。地元署には、別の学生の捜査依頼が出されていたが、高館刑事は二つの事件のつながりを直感し、接点を求めて捜査を開始する。事件の舞台となった白蟹村は古い伝承と習俗をもつ閉ざされた社会であった。刑事の執念の捜査が、まさに核心に迫ったとき、古代伝承は不気味に甦る。》
和久峻三『仮面法廷』講談社文庫・1975年(江戸川乱歩賞)
《琵琶湖を望む時価10億円の高台の土地売買をめぐるトラブルで仲介の弁護士と不動産屋が殺害される。事件の蔭に暗躍する謎の女。法律を盾に虚々実々の駆け引きに辣腕を揮いながら甘い利権に群る地面師。専門知識を活かして、民事裁判の実態を抉る法廷ミステリの傑作。乱歩賞。》
源氏鶏太『レモン色の月』新潮文庫・1981年
《全身ガンにおかされて死を間近にした老女が、生涯に一度だけ契った夫以外の男との再会を果す『レモン色の月』。ライバルとの競争に勝って妻を得、社長の座をも射とめながら、その妻がライバルと結ばれているのではないかという疑心暗鬼が死を招く『末期に見た夢』。ほかに『眼』『百人が見ていた』など、この世では果しきれない恋の想い、恋の怨みがひきおこす不可思議な出来事の数々。》
収録作品=眼/レモン色の月/百人が見ていた/十日間待て/四十九日忌まで/ロビイに来た客/鏡のある酒場/手鏡/末期に見た夢
吉村昭『蜜蜂乱舞』新潮文庫・1987年
《東京の大学を中退して行方知れずになっていた長男が、女を連れて戻ってきた。彼女とは、四日前に結婚したという。養蜂一筋に生きてきた伊八郎の心は、喜びと憤りで大きく揺れた。四月、春の訪れと共に、一家は花を追って、日本列島を北上するトラックの旅に出るが……。旅先で遭遇する事件や人間なるがゆえの葛藤を、雄大精妙な自然界の摂理を背景に追求した力編。文庫オリジナル版。》
陳舜臣『実録アヘン戦争』中公文庫・1985年
《一八四〇年に勃発したアヘン戦争という〈西からの衝撃〉によって、東アジアの近代詩の幕が切って落とされた。アヘン厳禁から香港島割譲にいたる経緯と人間を巨細に活写して読む面白さ溢れ、毎日出版文化賞を受賞した名歴史書に「それからの林則徐」を付した決定版》
なだいなだ『しおれし花飾りのごとく』集英社文庫・1981年
《我々の手で、素晴らしい雑誌を! バーの奥まったフロアーは、きょうも熱気に包まれていた。同人誌創刊に情熱の全てを傾ける若きK大学医局員たち――。
現実と理想の狭間で微妙に揺れ動く青春群像を通し、その歓びと哀しみを、そして青春・生命の何であるかを描き訴える。 解説・森禮子》
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