『踝』は近澤有孝(1960 - )の第1句集。
著者は「篠」同人。
かけなほす老眼鏡や黄砂降る
おとなりに客人あるらし初蝶黄
親よりも鉄線に似る従姉妹かな
草引かば草みなぎやつと声をあげ
翅なくてひとかはほりにも劣る
塩をふりトマトいまさらなまぐさく
芒野や中瀬旅館は街はずれ
罪のなき嘘はあるまい茸鍋
昼月やドッジボールは終はらない
梅擬母の湯あみのながながと
紅葉かつ散る荒れ庭に母を措き
襟巻をまとひし首や十五歳
初雪やいびつな壺を撫でまはし
あの鯨オルガン呑んでいるさうな ※「い」ママ
たまゆらの氷柱のなかで目を醒まし
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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