『恭(かたじけな)』は北杜青(きたもり・せい 1963 - )の第1句集。序文:中西夕紀、栞文:加藤静夫。
著者は「都市」同人。
寒明けの象舎に鉄の輪が三つ
盆栽や暗渠の道の折れ曲がり
白梅や穴の深さの土の嵩
西行忌裸の影が服を着る
花人となる信号を渡りけり
五月憂し光の束の通過駅
魚影なき深山の堰や朴の花
対岸を灯のふち取れり冷奴
著莪咲くや双子の利き手異なりて
深山蝉先ゆく人の脚より消ゆ
秋嶺や小窓に見ゆる厨ごと
長き夜を覚めて鬼平犯科帳
秋冷や銃砲店の磨り硝子
敗北の眼なり枯野の競走馬
探梅や影落とし行くロープウェイ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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