『須藤徹全句集』は須藤徹(1946 - 2013)の第1句集『宙の家』、第2句集『幻奏録』、第3句集『荒野抄』、「ぶるうまりん」に発表された句集未収録句、パソコンに残されていた遺稿を収録。
人去つて椅子まはりゐる冬薔薇 『宙の家』
ガラス切る音の軋みに雪降りだす
透明に花粉少年繁茂せり 『幻奏録』
肋より億の蝶咲く火刑台
ベッドサイドに機関車とまる月の原
ニジンスキー忌の慈悲心鳥はアルミ箔だ
秋風や火中に椅子を投げ入れて
煙のように獏の乗り込む枯野駅 『荒野抄』
虹の中両性具有の白馬行き 以下、句集未収録
ぶらっくほーるへ列車墜ちゆく良夜かな
棒状銀河グアンタナモの有刺線に蠅
前後左右の雲そして切山椒わはは
さえずりや天の箪笥が少し開き
すきすきとすすきとおどるすずきくんすき
叫ぶ教皇重低音の蠅生る
※本書は発行者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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