『眞鍋呉夫全句集』は眞鍋呉夫(1920 - 2012)の第2句集『雪女』、第3句集『月魄』、拾遺、若書きの第1句集『花火』を収録。跋文:高橋睦郎。
以下、第2句集『雪女』、第3句集『月魄』以外から抄出。
ちぎれた手「ランボオ詩集」握りしめ
花冷の指で項(うなじ)を剃られをり
聽くはさびし聽かぬもさびし雁の聲
銀の針ひしめき冬の泉湧(わ)く
水漬(みづ)きたる屍(かばね)をまもる海鼠(なまこ)かな
瀬の石のゆらめき見ゆる良夜かな
死にし仔を負ひゆく猿よ月の下
螢光燈ともる音して夜寒なり
も一人の我の住みゐる蜃気楼
身のどこか透いてゐるらし夜の秋
月天心乘れば止まらぬ昇降機
死水は三ツ矢サイダー三口半
花火上りまた上りわれむなしきに 以下、第1句集『花火』から
佐藤昌康に 追分油屋にて
高原の眼鏡つめたく置いて寢る
秋は雨降り少年の白靴(くつ)汚れたり
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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