『カフェにて』は能城檀(1963 - )の第1句集。序文:仲寒蝉。
著者は「船団」「牧」会員。
潜水艦浮上せし日の祭笛
蒲団の海跨いで母に似てしまうふ
目刺焼きふたりで退屈する贅沢
不可解なきのこ生やして夢の島
ところてん人のたましひ海より来
手に触れる物みな玩具雲の峰
八月の水ごくごくと吾子になる
セーター脱ぎつぱなし子のをらぬ夜
あちこちに手足散らばり夏布団
透明な性欲青年もほうたるも
まはり皆老人といふ朧かな
東京の乾いた殺意鳥雲に
玄冬は王手の如くやつて来る
桐の花春画のをみな指曲げて
深更の百合はしづかに生殖す
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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