『座る祥文・立つ祥文』は川柳作家筒井祥文(1952 - 2019)の遺句集。樋口由紀子編。
ウミネコが群れる日付のない日記
弁当を砂漠へ取りに行ったまま
老人が違う光の中にいる
木で暮らす男の知恵を借りにゆく
天国の破片は出土しましたか
どこで口説こう空中ブランコの女
ご公儀へ一万匹の鱏連れて
あり余る時間が亀を亀にした
天高く警察官を浪費する
帽子屋はギリシャ上空まで飛んだ
仏壇の奥は楽屋になっている
なるほどと手を打つ先斗町の猫
焼けてみたろかと思うのも金閣寺
テーブルの脚だけ四本立っている
ハンカチを三度振ったら思い出せ
※本書は編者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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