『天真』は千坂希妙(1951 - )の第1句集。
著者は「船団の会」「青垣」会員。
一輪の梅の芯なる華厳かな
むらさきの雨となりたる紫蘇畑
ゴキブリはもつとゴキブリ殖やしたい
紙雛をほぐしては折る子供かな
六角の仁王の乳首蝉しぐれ
釉薬のテストピースや青葉風
納豆のセロファンに穴さやけしよ
行く秋や一度合はせる割れ茶碗
日向ぼこ靴下脱いでふと嗅いで
農薬の瓶が転がる春田かな
殺られたと死んだふりしてこどもの日
軍艦にその名貸したる山眠る
夏痩せて女ちりめんじやこめつてい
海王星そこにも鯨をりさうな
追悼 保田與重郎
師の墓に雪激しくて帰られず
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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