『星糞』は谷口智行(1958 - )の第3句集。
著者は「運河」副主宰兼編集長。
のどけしや野良着磯着をならべ干し
潮鳴りの午後を交めり天道虫
揉みくだくとき空蝉のこゑ混じる
ありあはせなれどもといふ鹿の肉
しどろに酔うて山火事を見てゐたり
岨攀ぢりゆく紅梅と分かるまで
常臥しの祖父が稲刈る日を定む
葦の穂のなぶり疵ある護岸壁
山芋の上半分を猪が喰ふ
古地図たよりに元禄の噴井まで
茄子刻む音に寄りくる烏骨鶏
健次忌の辻々に立つ青をんな
かつて火は鑽り出せしもの福沸
木の股と根の国通じゐて涼し
神ときに草をよそほふ冬の月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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