『春蘭探し』は西遥(1936 - )の第1句集。序文:宮坂静生、栞文:小林貴子。
著者は「岳」同人。
松過ぎのなほ喧騒に遠くあり
それだけで足る塩焼の初秋刀魚
春蘭を探して狭山丘陵へ
春風やアルパカの群れ山を下り
春の月死後の時間をもてあます
カンナ咲く地球を我の去る日にも
わが部屋の阿弥陀堂めく秋の風
風の盆踊り手ふつと消え去りぬ
水滴の輝き卓のマスカット
桜餅食べて無言となる家族
尋ねたる友すでになし弥生尽
砂嵐太陽隠すゴビの春
ででむしの殻のうちなるさびしさよ
鮎落ちて山は日に日に瘦せにけり
長寿とは木枯に人送ること
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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