『北里仰臥滴々/呼辭記』は折笠美秋(1934 - 90)著、寺田澄史編集による第4句集。解説:岩片仁次、あとがき:林桂。限定500部。
盃や無数の詩と友底に居り
新宿にもシャガールの絵の夜空があり
風あれば風と化し来る春の妻
新緑を一枚妻に盗ませる
蔦青くあり人の世に帰り道
麵麭屋まで二百歩 銀河へは七歩
我れ死なば青紫蘇一枚揺れおらむ
「母」の字に最も近きが「舟」よ月明
枯草の茎ほの青し折れたるも
春始まる山脈の襞すみれ色
土砂降りの中でも
友か
止まないぞ
石上三年
石下は永遠や
霙來る
近景に
愛
遠景に
海荒れる
鬼と化し
人と化し
止まずの
風と化す
花失せて
翁に歸る
櫻かな
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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