『椎拾ふ』は藤永貴之(1974 - )の第1句集。序文:本井英。
著者は「夏潮」運営委員。
沈丁花鍵を取り出すとき匂ふ
飛魚の飛びつゝ曲がり行けりけり
噴煙を立たせて霧の晴れにけり
穴惑流れに落ちて流れけり
スリッパに海女の名マユミ、カズ、ヒデヨ
塵取にとられし雹やくつゝきあひ
ホームセンター裏とはなりぬ墓洗ふ
桐一葉塀をこすりて落ちにけり
榾の火を熱しと猫の目つむれる
割箸でつまめば硬し土瓶割
春燈の楼閣なしてフェリー航く
種池に軒灯暗く点りたる
線分を短く星の飛びにけり
実朝のそして公暁の忌なりけり
山裾に沿うて落ちゆく冬日かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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