『寺田京子全句集』は寺田京子(1922 - 1976)の4句集『冬の匙』『日の鷹』『鷺の巣』『雛の晴』をまとめたもの。解題:江中真弓。後記:宇多喜代子。栞文:林桂。
著者は「水声」「水輪」「壺」「寒雷」「札幌文学」「杉」同人。
以下は有名句《未婚一生洗ひし足袋が合掌す》《日の鷹がとぶ骨片となるまで飛ぶ》以外から抄出。
ダリヤの市敵のごとくに大鏡
旱の夜おんなじ貌の鰈焼く
父が寝し闇より生れて髭ふる虫
顔入れて押入さみしき朝の蝉
涸ダムなり朝鴉飛ぶ真つ逆さま
マッチ擦つて真昼があおし魚市場
曇る五月出発すつくとちんどん屋
灯の寒流死はたやすさのハンカチ飛ぶ
主婦の名が縛す友の背鷹が飛ぶ
正月終る女の家の急階段
トンネルに梯子棲みいて冬の旅
売文のめくそはなくそ冬レモン
暗闇に剃刀を置く夏の杉
友の死の夏あかつきのブルドーザー
鷺の巣や東西南北さびしきか
※本書は編者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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