『火は禱り』は鍵和田秞子(1932 - )の第10句集。
著者は「未来図」主宰。
落椿踏みたき夕べありにけり
母恋ひの葉よりまろびてかたつむり
あぢさゐや部厚き辞書を繰る少女
青葉若葉死者も影もつ遠野かな
だみ声放つ携帯ラジオ蠅取草
小魚は永遠に食はれて聖夜かな
軍用機飛びて古利根吾も葦
毒あれど敬ふほどの大茸
たらちねのははと遊べる柚子湯かな
梅が香は乳の香とほき焼跡よ
急がねばと言ひて急がぬ梅雨茸
灯ともせば野を這ふ闇や里神楽
初日射す縄文土器の深眠り
あらたまのゆがみし壺は考ふる
賀状たのしむ流し目をする猪(しし)もゐて
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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