『スカラ座』は吉田林檎(1971 - )の第1句集。序文:西村和子、帯文:行方克巳。
著者は「知音」同人。
咲くほどにこはれてゆくよチューリップ
蝌蚪影とはなれて泳ぎはじめけり
サイレンの半音下がり梅雨に入る
子の夏やサドルを高くしてやりぬ
木洩れ日を掃き寄せてゐる夏袴
避暑の夜の真暗闇を喜ぶ子
議事よりも虹を見てをり十五階
小鳥来る倉庫をカフェに建て替へて
子の寝顔聡し逞し秋灯下
初雪や吾子の応への素つ気なし
蝸牛伸びきつて殻はづれさう
春装や密かに思ふ人あれば
キッチンの片付いてより夜の長き
大いなる雲は急がず初景色
未婚でも既婚でもなく寒茜
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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