『眠たい羊』はふけとしこ(1946 - )の第5句集。
著者は「椋」「船団」所属。
嘴の痕ある椿ひらきけり
鉄橋の三角三角春がくる
東日本大震災、句を求められたが…… 二句 より
三月のその日を山に遊びゐし
うららかや紀州青石販売所
ゆく春や虎魚が結ぶ口に泡
雀蛾に小豆の煮えてゐる匂ひ
黒蟻の死よ首折つて腰折つて
向日葵の首打つ雨となりにけり
山近く暮らし秋刀魚を焦がしけり
一夜茸なら椿の下に生えてゐる
冬の鵙ダリ売つてより眼の乾き
日が溜まる大根畑の足跡に
悪相といふべき榾のよく燃ゆる
盛籠をはみ出す海鼠買はれけり
製材所の焚火のなんといい匂ひ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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