『藤原月彦全句集』は藤原月彦(1952 - )の全句集。『王権神授説』『貴腐』『盜汗集』『魔都 魔界創世記篇』『魔都 魔性絢爛篇』『魔都 美貌夜行篇』を収録。
著者は「豈」創刊同人。89年以降は歌人藤原龍一郎としての活動に軸足を移す。
『王権神授説』
致死量の月光兄の蒼全裸(あおはだか)
天変のさきぶれとして親友(とも)娶る
乱歩忌の劇中劇のみなごろし
『貴腐』
秋の夢より誰が去りし深轍
母死なばらふそくとなる出雲かな
陽炎を喀く飼猫を見てしまふ
『盜汗集』
鵙鳴けり子供芝居の修羅場にて
花火の火もて妹の股犯す
『魔都 魔界創世記篇』
鍵穴の向ふ吹雪の満州か
日雷自動筆記の終りなき
数歩にて終る板廊下の暮春
『魔都 魔性絢爛篇』
夜桜にほろびのゆめの大日本
晩春の謎として父ながらへよ
『魔都 美貌夜行篇』
月光に自転車群るる綺譚かな
ゆくすゑは天狼星とのみ告げむ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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