『とびうを』は安藤恭子(1959 - )の第2句集。
著者は「泉」を経て「椋」会員。
木の影の起伏こまやか春の苔
菜の花や旧家は海に開かれて
指先の目覚めてきたる苺かな
緑さすごちそうさまといふ声に
暗がりに薬箱ある雪解かな
木々の芽のうちかさなれる大時計
眠ることおそろしといふ百合の花
墓石の倒れたるまま秋澄みぬ
片方の眼ぬぐつて蜻蛉発つ
秋うらら子の目はいつも不思議さう
シャッターの音響かせし冬野かな
フーコーの振り子ゆつくり秋めきぬ
フランスに置き忘れたる夏帽子
カウベルは草嚙むリズム雲の峰
大学のラボ灯るまま月の蝕
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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