徳間文庫の田中光二の古本が3点手に入ったので読んだが、カバー絵が乳首が出てしまっている。今こういう装幀はしにくそう。
齋藤愼爾『逸脱する批評―寺山修司・埴谷雄高・中井英夫・吉本隆明たちの傍らで』は著者から寄贈頂きました。感謝します。
西村寿行『オロロンの呪縛』角川文庫・1985年
《奇怪な事件は北海道納沙布市に起った。
民宿を訪れた五人の男女が、突如閉塞されてしまった。
一体、誰が何のために?
人質となった女の一人、遠山崇子はやっとの思いで兄に救けを求めた。事件の異様さを嗅ぎつけた弁護士、遠出直弘はただちに北海道へ飛んだ。そして、遂にKGB国境警備隊の密入国、レポ船を巡る汚職を突き詰めるのだが、敵は恐しく巨大な口を開け、行く手に立ちはだかった。
闇の奥に潜む巨大な陰謀は、やがて政治的様相を帯びてくるのだった――。
日・ソ漁業問題にメスを入れた、著者会心のハード・サスペンス巨編。》
山田風太郎『外道忍法帖』角川文庫・1985年
《江戸の切支丹屋敷に今日も三つの軍鶏籠が運びこまれた。肥前一円でとらえた20歳前後の切支丹娘は、ことごとく江戸へ送られた。313年の生命をもつ十五童女を見つけだすために。
十五童女、それは天正10年ローマに派遣された使節たちが法王より預った秘宝を守るべく運命づけられた者たちであった。彼女たちの体内にあるという15個の鈴、それが秘宝のありかを示す手がかりとなる。
切支丹の妖術を使うという15人の童女はどこに隠れているのか? 幕府の探索隊は伊賀忍者15人。そして秘かに財宝を狙う由比正雪もまた、15人の甲賀忍者を長崎に送りこんだ――伊賀・甲賀忍者と処女忍者、三つの集団の壮絶な死闘を描く、風太郎忍法帖の極致!》
岡本太郎『今日をひらく―太陽との対話』講談社・1967年
《この一冊には、いわゆる芸術論でない、生活に直接ふれる問題のエッセーを集めた。強烈に生きること、即芸術であると考える私。だから八方にひろがり、充実して生きることを主張するこれらの文章も実は芸術論なのである。いや芸術そのものといったほうがいい。》(「あとがき」より)
田中光二『銀河十字軍《銀河の聖戦士PARTⅡ》』徳間文庫・1986年
《不慮の事故で矢吹剣という肉体をすてた若き戦士ケンは、不毛の星間戦争に終止符を打つ使命を帯び、惑星ゾアのイスパン国の領主オズマ家の世継ぎとして〈輪廻転生〉した。赤い砂漠の惑星アルケアをめぐる凄惨な死闘のさなかに父ドミトルを失い新領主となったケンは、人類発祥の〈聖地〉アルケアに向けて出陣するが、その前途には新たな試練が立ちはだかっていた……。壮大な構想で描くスペース・ロマン。》
田中光二『地球の光と影《ハーマゲドンの嵐Ⅱ》』徳間文庫・1987年
《暗国の王との凄絶な闘いで辛うじて難をのがれた千夏響とエクソシスト達は、善と悪との戦いを超越した聖地シャンバラをもとめて再び放浪の旅を開始した。イギリスの杖占い師パトリックを加え、一行は特製車“キファル”に乗って聖地を目指すが、突如砂塵の中から夥しい“死者”の騎馬群が襲いかかった。響とエクソシスト達は凶々しい敵を打ち倒し、聖地に辿り着けるか……。《ハーマゲドンの嵐》待望のPartⅡ。》
田中光二『天界航路《ハーマゲドンの嵐Ⅲ》』徳間文庫・1987年
《地球の闇の世界と死を賭した闘いを繰りひろげた千夏響と竜造寺悟らエクソシストたちは、地球の危機を救うべく“神界域アガシュ”へとさらなる旅に出発した。
一行は暗黒の魔手によって、かけがえのない二人の仲間、ウィスパリング・スカイとリゼロッテを失った。だが、光の洗礼を受け霊人となった響は、宇宙船ゼグを駆って意識ホールへと突入していった……。SF巨篇《ハーマゲドンの嵐》PartⅢ。》
都筑道夫『ロスト・エンジェル・シティ―未来警察殺人課』徳間文庫・1991年
《人類が太陽系第三惑星を脱出し、この新しい地球に移ってから数十世紀。予防精神医療の発達により、殺人は絶滅した。殺人傾向を持つ者はテレパシストによって予め察知され、矯正される。矯正不可能な者の始末を任務とするのがおれたち警視庁三課――通称殺人課だ。未来都市L.A.(「ロスト・エンジェル・シティ」)、KYOTO(「殺人ガイドKYOTO」)を、おれ=星野が駆ける、好評アクション。》
収録作品=有毒夢/赤い闘牛士/ワイキキ・ワンダーランド/私設殺人課/殺人ガイドKYOTO/空白に賭ける/マンハッタン・マンハット/ロスト・エンジェル・シティ
赤瀬川原平『夢泥棒』学芸書林・1975年
《赤瀬川原平の夢の書物! 謎のイラスト30枚入り
これこそ日本の真正黒い文学の発生ではないのかと薄気味わるくなる本……(瀧口修造)
これは赤瀬川原平が昼の世界から夜の世界にあてた甘美なラヴ・レタアである(筒井康隆)》
日野啓三『どこでもないどこか』福武書店・1990年
《透きとおる荒廃の気配、往還する天使たち。
意識が現実を生み、現実が幻想と戯れる未来へとのめり出す巨大都市東京の未知の感触を六篇の変奏で描いた最新作品集。》
収録作品=背後には何もないか/ここはアビシニア/林でない林/メランコリックなオブジェ/黒い天使/岸辺にて
光瀬龍『SOSタイム・パトロール』ソノラマ文庫・1975年
《突然、仁の耳に戦いの雄叫びが聞こえ、硝煙の匂いが鼻をついた。傍らを刀をふりかざした武者が走り抜け、矢が飛びかった。傷ついた腕をおさえて、仁は途方にくれてしまった。〈俺はいったい、どうしてしまったのだろう〉通信販売の電子工作キットを組み立てていたはずの中学3年生の仁は、どうやら元和元年、大阪夏の陣の真只中に飛び込んでしまったらしかった。》
N・サロート『不信の時代』紀伊國屋書店・1958年
《現代小説の二つのタイプ、心理小説と状況の小説を論じて新しい文学の方向をさぐった論文「ドストエフスキーからカフカへ」のほかに、「不信の時代」「会話と会話の底にあるもの」「鳥たちが見るもの」を収む。アンチロマンの旗手サロート女史は本書によって二十世紀小説の新しい方向を示唆した。》
東野芳明『裏切られた眼差―レオナルドからウォーホルへ』朝日出版社・1980年
《敢えていえば、六〇年代美術のひとつの特長であった「見ること」の新たな検証、という問題がそれぞれの作家を通して浮かびあがっていることはたしかだろう。》(「はじめに」より)
西成彦『個体化する欲望―ゴンブロヴィッチの導入』朝日出版社・1980年
《副題を「ゴンブロヴィッチの導入」としたのは、本書が『ゴンブロヴィッチ論』や『ゴンブロヴィッチへの手引き』ではいささかもないからである。デンマークの哲学者にならえば、一種の「実験心理学の試み」とでも言うべきだろうか。》(「あとがき」より)
柏木博『探偵小説の室内』白水社・2011年
《インテリアデザインの論客が、コナン・ドイルなどの本格探偵小説からポール・オースターの現代小説まで15の作品を取り上げ、人間の心理と室内の構造との関係を巧みな視点で読み取る。》
W・S・ギブソン『ボス―光と闇の中世』美術公論社・1989年
《ギブソン氏の研究態度は本書でも明らかなようにその生涯と環境をまず克明に追跡し、《罪の勝利》する中世社会を絵画化したボス芸術を図像学的解釈によって解明していく。》(「訳者あとがき」より)
柏木博『20世紀はどのようにデザインされたか』晶文社・2002年
《20世紀のデザインがどのような理想を掲げ、今どのような問題が残されているのか。アメリカ、ドイツのバウハウスなど、各国の特徴は? 広告、戦争、サブカルチャーなど、20世紀の象徴的現象は? デザインの基本読本であり、未来を読み解く書。「現在の消費低迷の根本の原因に答えてくれる」(読売新聞・竹内佐和子氏評)。》
日野啓三『創造する心―日野啓三対談集』読売新聞社・1983年
《東西文明の相克を突きぬけてすぐれて日本的な個性が生み出した創造性とは何か――豊饒の地平を見はるかす
芥川賞作家が日本の代表的な芸術家、碩学を歴訪して、未来を構築する発想の源泉をたずねた》
日野啓三『書くことの秘儀』集英社・2003年
《小説をめぐる思索の軌跡、創作の秘密の「部屋」を初公開。
「なぜ小説を書きたがるのか。小説を書くことが、どうしてこれほど深く楽しいのか」著者が明かす小説・文学論の精髄。遺作》
中村真一郎『暗泉夜話―芸術・歴史・紀行』読売選書・1975年
《著者初めての文明論的エッセー集
豊潤な知性と鮮鋭な批評精神をたたえた著者が、東西文化の根底を凝視しつつ、自らの精神的風土を解き明かした画期的随想集!》
《この書物は、私の精神の、従来の著作にない広い領分に光を与えるものである。その扱っている対象は極めて多岐にわたっている。しかし、それらに共通するのは、どの文章を書くのにも、私が遊んでいるような心の伸びやかさを感じながら、ペンを走らせたという点である。
従ってこの書物は、冬の夜に暖かい部屋のなかで、ゆったりとした椅子に掛けて、好きな題材について、心ゆくまで語っているといった趣のものとなった……》
中村真一郎『増補 戦後文学の回想』筑摩叢書・1983年
《大戦後の新しい文学の建設を目ざした最初の文学運動に参加した作家の個人的回想録。爾来四十年近い年月が去り、当時の人たちの多くが故人となったが、戦後文学の影響は強く残っている。初版本に「二十年後の再説」の一章を加え、年表を増補改訂した。》
四方田犬彦『摩滅の賦』筑摩書房・2003年
《何百年も人々が撫で擦り続けたために輪郭しか留めていないレリーフ、参詣人に触れられ黒光りする仏像、波に浸食された岩、口の中のドロップ…摩滅をめぐる13のエッセイ。》
四方田犬彦『署名はカリガリ―大正時代の映画と前衛主義』新潮社・2016年
《みずから進んで映画評を執筆した谷崎潤一郎。日本最初の表現派映画を試みた大泉黒石と溝口健二。新感覚派の小説家たちの協力を得て、前代未聞の前衛映画『狂つた一頁』を製作した衣笠貞之助——精神病院を舞台に、狂人の妄想をグロテスクに描き出した『カリガリ博士』が日本の芸術家たちに与えた衝撃を精緻にたどる評論集。》
齋藤愼爾『逸脱する批評―寺山修司・埴谷雄高・中井英夫・吉本隆明たちの傍らで』コールサック社・2019年
《齋藤氏はすでに2000年に『齋藤愼爾全句集』を持つ高名な俳人で、評論家、作家であると同時に、寺山修司の句集など数多くの歴史的な書籍を世に出している深夜叢書社の代表者として認識していた。齋藤氏はこの何役もの立場を自在に逸脱していき、多くの作家や表現者たちの存在を内側からまた外側から、同時代を生きた姿やその試みの本質を描出していく。(鈴木比佐雄解説文より)》
柏木博『電子デザインの詩学―テクノロジーと世紀末都市』PARCO出版・1988年
《機械を超えて電子に向けて
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20世紀末社会の〈デザイン現象〉を俯瞰しつつ、[もの]と[人間]との間で生成されつつある新たな意識構造を解読する。
最先端デザイン/都市論》
若松英輔『霊性の哲学』角川学芸出版・2015年
《小さな自己を超え、永遠を希求する魂の衝動。この熱き働きを霊性と呼んで探究した近代日本の哲人達が現代に語りかけるものとは。霊性論の先駆者、山崎弁栄。日本的霊性を説いた鈴木大拙。民藝に美と平和の祈りを見た柳宗悦。カトリシズムを超えて霊性を問うた吉満義彦。人々への寄与を哲学の使命と信じた井筒俊彦。ハンセン病者の尊厳を詠った詩人、谺雄二―。日本思想の奥底に脈打つ命と霊性の哲学を探る。》
最果タヒ『夜空はいつでも最高密度の青色だ』リトル・モア・2016年
《心の葉脈が透けて見えるのは、
最果タヒの瞳から放射される
光線のせいだ。
―― 松本隆(作詞家) オビコメントより
異例のひろがりで話題騒然となった『死んでしまう系のぼくらに』を超える、待望の新詩集!
都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。――「青色の詩」より抜粋
現代詩の枠を超えたムーブメントを巻き起こした詩集前作『死んでしまう系のぼくらに』。
他方では小説家としても活躍し、SNSでも詩を発表するなどフィールドを問わず快進撃を続ける詩人・最果タヒが満を持して放つ、渾身の詩集最新作!
「ゆめかわいいは死後の色」「月面の詩」「花と高熱」「美しいから好きだよ」「冷たい傾斜」「もうおしまい」…ほか、書き下ろしを多数含む全43篇収録。
現代におけるポエジーとは? ひとつの答えがここに。》
吉増剛造『怪物君』みすず書房・2016年
《60年代から現在に至るまで、現代詩の最先端を疾走する詩人中の詩人、吉増剛造。
大震災からの五年、渾身の力を込めて書き続けられた一連の詩「怪物君」。本にするのは不可能といわれてきた詩の群れがついに詩集のかたちになる。
震災の後に見た光景、土地の記憶、人々の声、古今東西の言葉……。生者と死者が交わる場所に途方もないヴィジョンが立ち上がる。囁くように、叫ぶように、音楽のように、あらゆる声が響き渡る、世界に対する詩人の応答。》
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