『アラベスク』は九堂夜想(1970 - )の第1句集。
著者は「LOTUS」同人。
春深く剖かるるさえアラベスク
中二階にて星学の響動むべし
昼顔やあれ神経家のおはよう
蝶や啼く旅人たちを酢に沈め
したたりを時のはずれに祀らんと
永遠の市の死体派の手袋よ
ホネガイは漂う少女群島を
水妖の果てにぞミルククラウン立つ
太陽虫ワインに洗われて死児は
星唄のきみリュウグウノツカイなれ
死に顔へ海市はこばれゆく夜会(ソワレ)
万劫は硝子建築とぞ沈む
花という花からびゆく相聞(あいぎこえ)
日の奥に瞽女らもみ合う麦の秋
天霧らう破(わ)れし万壺の長鳴きを
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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