『囀の器』は中井洋子(1941 - )の第2句集。跋文:高野ムツオ。
著者は「小熊座」「地祷圏」同人。
四五人の頭がふさぐ夜店かな
螺子回し持ちゐてたのし炎天下
芥子ひらく自力のなかの非力もて
拳もて袖通すなり鬼房忌
月光に守られてゐる爬虫類
曼珠沙華地中にも風吹き渡る
炎天をこの象駈けてみたいのだ
数字やら音符やら吐く青ポプラ
墳丘は女体に尽きる秋の風
フリージアの花瓶毀しに来たる地震
物音のひとつでありし黒揚羽
独楽はいま風の峠にあるらしく
クレソンの繁茂する世をまぶしめり
睡蓮を身籠りさうで立ち上がる
冬の山から道が出て人が出る
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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