歯の移植手術をやった。まだ微熱、鈍痛続きで落ちつかない。
今月読んだもので装幀として懐かしいのは新潮社のハードカバー宮脇俊三『殺意の風景』、『新潮日本文学48 中村真一郎集』、福武文庫の島田雅彦『亡命旅行者は叫び呟く』、ハヤカワ文庫の旧装幀のクリスティー『複数の時計』くらい。なぜかSF、ミステリがほとんど読めていない。
ジュリアン・グラック『街道手帖』風濤社・2014年
《シュルレアリスト、地理学者、詩人、小説家——
グラック最後の著作!
ノートに綴られた覚書から、80歳を超えたグラックが編んだ188篇の断章。
風景をつなぐ街道、夢の街道、記憶の街道、読書や芸術の街道……
地理学者としての客観的な目、詩人としての幻想的ポエジー、
各断章が響きあい絡む、紀行文的、回想録的、文学論的エッセイ。
「この本の街道は、もちろん地上の風景を横切りつなぐ街道である。それはときには夢の街道であり、記憶の街道でもある。その記憶は私の記憶であるが、集合的な記憶、ときにはそのもっと遠いもの、すなわち歴史でもある。だからこの街道は、読書や芸術の街道でもある」(ジュリアン・グラック)》
カルロス・フエンテス『ガラスの国境』水声社・2015年
《文学は世界の救世主、このカルロス・フエンテスの信念に限界はない!(ガブリエル・ガルシア・マルケス)
《リオ・グランデの北、
リオ・ブラーボの南、
言葉よ、翔べ、
哀れなメキシコ、
哀れなアメリカ合衆国、
これほど神から遠く離れ、
これほど隣り合っているとは》
国境を接するメキシコとアメリカ。〈こちら側〉と〈あちら側〉の人間たちが生きる世界を九つの物語によって多層的に描き出し、登場人物たちの声を響かせ祖国《メキシコ》を高らかに謳いあげる、現代版〈人間喜劇〉。》
渡辺京二『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』弦書房・2018年
《石牟礼道子の遺した預言とは何か。そして彼女はどこへ帰って行ったのか。
2018年2月10日、石牟礼道子氏が死去した。著者・渡辺京二氏は、故人の最もよき理解者として互いに支え合ってきた。本書には、故人の闘病の姿と絶えることのなかった執筆(表現)への意欲を著した「石牟礼道子闘病記」を収録。他に新作能「沖宮」の謎についての深く鋭い論考や「春の城」「椿の海の記」「十六夜橋」など各作品に込められた深い含意を伝える。石牟礼作品を読み解く貴重な一冊。》
石牟礼道子『無常の使い』藤原書店・2017年
《生前交流のあった方々の御霊に捧げる悼詞
荒畑寒村・白川静・鶴見和子・橋川文三・上野英信・谷川雁・多田富雄・木村栄文・細川一・砂田明・土本典昭・本田啓吉・田上義春・川本輝夫・宇井純・原田正純・杉本栄子 各氏 ほか》
岩城宏之『棒ふりの休日』文春文庫・1982年
《ドイツ風の鼻のかみ方をごぞんじですか? ロシア風トイレの流し方は? 世界を股に大活躍の音楽家が、身の周りのちょっとしたことに見る東と西の文化の違いを始め、料理の話に「わがヰタ・セクスアリス」、ビールヘの薀蓄等、タクトのかわりに握ったペンから繰り出すざっくばらんでユーモラスなエッセイの数々。解説・中山千夏》
木下順二『ぜんぶ馬の話』文春文庫・1991年(読売文学賞)
《壮絶なディレッタンティズム、と読書界を驚倒させた天下の奇書! 正統馬術の神髄をきわめるSK先生をめぐる、様々なエピソードにはじまり、馬に関する珍本奇本、シェイクスピアや漱石の文学と馬の関わり、美術品としての馬、大日本落馬史など、「夕鶴」の著者がうんちくを傾けて書き綴った傑作エッセイ集。読売文学賞受賞作。》
富岡多恵子『回転木馬はとまらない』中公文庫・1978年
《旅、音楽、映画、芝居、ファッション、そして読書……ヒトがみずみずしく生を過すために欠かせない同伴者たち。才女富岡多恵子が、犀利な視点と軽やかな文体で、現代文明の周辺をとらえたユニークなエッセイ集。》
真名井拓美『ニミッタ』審美社・1987年
《現世に生まれ出る以前の記憶を持つ作者は、ベケットの作品中に同じ経験者でなければ書けないものを見出し、直接会って問いただすべく、パリに作家をたずねてかねての念願を果たす。異色の超経験記。》
宮脇俊三『殺意の風景』新潮社・1985年(泉鏡花文学賞)
《断崖絶壁に立った時の、血が引いていくような戦慄、季節はずれの別荘地の静寂につつまれた時の、本能的な怯え――。北は北海道の十勝岳、シラルトロ沼から、南は九州の平尾台、高千穂峡まで、日本全国18カ所の風景を〈主人公〉にした、ユニークな旅のミステリー。非情な大自然が人間の心に呼びおこす名状しがたい恐怖を、時刻表や心理のトリックを駆使して描き出す。泉鏡花文学賞受賞》
八木義徳『漂雲』河出書房新社・1984年
《漂う雲のような茫々七十年の歳月に、出会い愛し別れて行った女たち、友人知己――剛直な魂を底に潜め、人生の起伏と哀歓を巧まざるユーモアの裡に切々と謳う、八木文学の円熟の成果。》
収録作品=故郷小景/系図/伊豆木の里/漂雲/紫竹と梅の花/老いの日常/街あるき/土堤下の家
坂崎乙郎『幻想の建築』鹿島出版会・1969年
《重要なのは空間に寄せる私たちの意識ではないのだろうか――本書はこうして書かれました。いいかえれば、この本のテーマは「住み得る空間」と、「住みやすい空間」とのあいだにおかれた人間がどれほど「住み得ない空間」をおそれ憎悪し、なおかついとおしみ待望しているか、その意識の振幅にかかっているといえるかもしれません。》(「あとがき」より)
ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ』角川文庫・1976年
《〈俺〉は夜の街頭で、嘔吐感にとらえられ、行きずりの女を、また自分自身を〈裸にしたい〉衝動におそわれる。〈俺〉は酒場を歩き、暗がりにまみれ、ズボンを脱ぎ去る。淫売屋に出かけ、そこで奇妙な娼婦マダム・エドワルダを見いだす。「これほど美しい!――またこれほど裸の娼婦に出あったのははじめてだった」。彼女は自分は〈神〉であると告げる。〈俺〉を前に、陶酔と過剰への手引きが展開する……。
シンボリックな手法で閃光的な美を凝結した傑作「マダム・エドワルダ」を含む〈エロティック3部作〉、ほか2篇を収録。エロティシズムの世界をめぐる最上の作品集である。》
収録作品=マダム・エドワルダ/死者/眼球譚/エロティシズムに関する逆説/エロティシズムと死の魅惑
澤地久枝『あなたに似たひと』文春文庫・1980年
《激しい恋もあれば、愛するものとの別れもある。耐えつつ生きる人生もあれば、フラメンコに憑かれて踊りつづけるひともいる。女なら誰しも通らざるを得ない人生での試練を、健気に生きぬいてきた11人の有名女性たち。彼女らの胸奥のつぶやきに耳を傾け、それぞれの人生の暦を描いて共感を呼ぶ女性による女性のための11章。》
日野啓三『都市という新しい自然』読売新聞社・1988年
《都会ではない「都市」、田園牧歌的自然ではない本来の「自然」に関するものが主だが、自作も含めて文学、映画作品に関する文章もある。「現実」と「意識」との関係ということも、一貫する主題と言えるかもしれない。われわれの現実も意識も、共に底深く不安にスリリングに揺れ始めている、というのが80年代の著者の基本的感触である。最新エッセイ集。》
中村雄二郎・日高普・日野啓三『鼎談 不思議な半世紀』創樹社・1987年
《この本は、ほぼ同世代の私たち三人が、この半世紀の社会・文学・思想について、その時代を生きてきたそれぞれの経験に照らしながら、現在の観点から語り合ったものである。そうすることで、他の方法では捉えにくい、私たち日本人と日本文化が現在置かれている位置を明らかにしたいと思った。》(「あとがき」より)
アガサ・クリスティー『複数の時計』ハヤカワ文庫・1976年
《秘書・タイプ引受所から派遣されたタイピストのシェイラは、依頼人の家の居問で待っていた。3時の約束なのにミス・ペブマーシュはまだ戻っていない……。そこは奇妙な居間で、時計が無数に置いてある。しかも、そのうちの4つは定時よりも早い4時13分を指して停っているのだ。突然、柱時計が3時を告げた。思わず立ちあがったシェイラの顔は、微笑からやがて驚愕に変わった。ソファの横に、男の惨死体が横たわっていたのだ! 死体を囲むあまたの時計の謎とは……? ポアロの口を借りて、クリスティーが探偵小説論を展開している稀有な作品!》
島田雅彦『亡命旅行者は叫び呟く』福武文庫・1986年
《「日本人は変身が得意だからね。きのう戦争犯罪人であっても、きょうになれば平和主義者にだってなれるんだ」「日本人であることはすなわち、囚人であることなのに」――公務員キトーとヒコクミンの思想を追求するワタシ君の過激な行動と意見が交錯するモスクワ、大阪の街。国家の論理を反転させた新世代の旗手の問題作!》
中村真一郎『永遠のなかの龍』新潮社・1972年
《逸楽と官能の地獄的な愛に陶酔し、浄福の天上的愛に憧れる表題作ほか、完璧な性と愛の至福の瞬間の完成とその崩壊を描く「蕭白の虹」、淫蕩と無垢、青春と老年の美的統一を夢みる「アスコットの帽子」など恋愛感情の襞ひだをみごとに描く連作小説三篇を収録。》
収録作品=アスコットの帽子/蕭白の虹/永遠のなかの龍
中村真一郎『神聖家族』新潮社・1976年
《家畜人の如くに従順な愛人を飼育する女性の「自由恋愛」を描く表題作のほか、男女の「嫉妬心」の異常を追求した『幻の映画のなかへ』、友人の気まぐれな「変心」を辿った『三つのホテルの経験』、支配階級からの「没落感」を形象化した『森とロールス』などの連作小説。》
収録作品=幻の映画のなかへ/森とロールス/三つのホテルの経験/神聖家族
中村真一郎『新潮日本文学48 中村真一郎集』新潮社・1972年
《西欧の前衛的手法と王朝の美的感性を通して愛のロマネスクを追求した、戦後日本文学の豊饒なる情念の世界――恋愛の〈形而上的真実〉に光をあてて世評の高い「恋の泉」をはじめ、五編の長短編を収録!》
収録作品=恋の泉/雲のゆき来/虚空の薔薇/空に消える雪/城への道
篠野志郎『アルメニア共和国の建築と風土―Out of the Frame』彩流社・2007年
《ロシアからペルシャ湾への南北の軸、アジアから地中海への東西の軸、「文明の十字路」に育まれたもう一つのキリスト教。アルメニアに遺る中世のキリスト教建築に内包された時を越えて静まり返る信仰の空間を甦らせる。》
多木浩二『絵で見るフランス革命―イメージの政治学』岩波新書・1989年
《フランス革命には膨大な絵画が残されている。国王や王妃らの権力者を風刺した漫画から、民衆のエネルギーをダイナミックに描いた作品まで、革命のさまざまな側面が大胆に描かれ、当時の社会や思想状況について新しい視点を提供してくれる。革命の勃発からナポレオンの登場まで、絵画の中から歴史をたどり、革命の意味をあらためて問う。》
尾崎秀樹『上海1930年』岩波新書・1989年
《1928年11月、ひとりの新聞記者が上海に赴任した。後にゾルゲ事件によってスパイとして処刑される尾崎秀実は、混迷の只中にある中国の現実に直面し、魯迅、スメドレー、ゾルゲ等の知識人たちと交流しながら、中国の民族的解放やアジアの自立の途を探る。兄・秀実の生と死を追跡してきた著者が、“魔都”上海を舞台に描く青春群像。》
松雪奈々『アレがない人の国』幻冬舎ルチル文庫・2016年
《友だちや恋人が皆無なほどとっつきにくい風貌を悩んでいた大学生・田上佳里也が、突然召喚されたのはヨーロッパ風の異世界。しかも「ここは女性が死滅してしまった国。聖なる乙女よ、子供を産んでもらいたい」などと頼まれてしまう。いくら美形な王子リキャルドが相手でも男なのにどうやって!? アレがない異世界人は大いなる勘違いをしていて……!!》
海野幸『いかがわしくも愛おしい』シャレード文庫・2016年
《すでに卒業式も終えた三月、譲が滑り込みで採用されたのはなんとゲイビデオ制作会社! スタッフたちに暖かく迎え入れられるも、商品を視聴してヌイた形跡もない譲は早々にEDの烙印を押されることに。そんな中、社長の新開の仕事に対する真摯な姿勢を垣間見た譲は、役に立ちたい一心で演者としてSM作品に出演することを決心する。しかしその決意を試すような新開の演技指導が始まって…。AV制作現場で芽生えた箱入り新卒の甘酸っぱい恋の行方は!?》
桃野真幸『ジュリエットは男子高校生』プリズム文庫・2017年
《全寮制男子校の体育科代表の昴は、進学科代表の未生に言い寄られていた。中学生の頃、寮で同室だったこともあり、実は昴も彼に好意を抱いている。でも、素直にそれを表すわけにはいかない。体育科と進学科は伝統的に仲が悪く、互いを敵視しているからだ。未生は気にしていないようだけれど、「両学科の代表が親密な仲になると、悲劇が訪れる」などというジンクスまであって……。》
森本あき『ハウスメイドに恋をして』ガッシュ文庫・2013年
《「もう一度キスをしたら、引き返せませんよ?」
幼い子持ちやもめの入江杏介宅では、優秀なハウスメイドを雇っている。住み込みで働く都築は、料理も掃除も完璧で、子供にも優しく面倒も良くみてくれる男前。いつしか杏介は都築の細やかな心遣いに惹かれるようになった。だけど、杏介にだけはいつも無表情でそっけない。都築への切ない想いを抱えた杏介は、思い余ってキスをしかけるが――!?》
エレーヌ・シクスー、ジャック・デリダ『ヴェール』みすず書房・2014年
《ともにアルジェリアに生まれ育ち、生涯の特別な友である二人が、ヴェールについて、自伝的・遺言的に応答を交わした。
まずシクスーが、短いテクスト「サヴォワール」で口火を切る。強度の近視の女が手術を受け、はじめて「目で世界に触れる」。奇蹟の瞬間に訪れたものとは何か。
続いてデリダが「サヴォワール」を受けて、卓抜した論を展開する。ブエノス・アイレス、サンティアゴ、サンパウロ……飛行機の中で、二人の人物がひたすら語り合う。ヴェールとタリートについて、技術と自然について、審判について、そして真理について。
鍵となるのが、テクストの表題である「蚕」だ。自らの分泌物で自らを隠し、変成を遂げるこの小さな虫は、伝統的真理概念に潜り込み、密やかに真理の糸を産出する。
〈その成熟はただ一回しか起こらないが、それがかつてそうであったところのものになるために、与えられた時間をすべて要求するだろう。私はけっして、あなた方にそれを物語ることはないだろう。〉
性的差異の論理を根本から書き換え、デリダの到達点を告げる、恐るべきエクリチュール。》
森本あき『傲慢社長のかわいいペット♡』シャレード文庫・2011年
《小さな製造工場で働く風奈の夢は一人前の技術者になること。高卒の自分を雇ってくれた社長の恩に報いるため、風奈はひたすら仕事に打ち込んでいた。しかし、最大手の取引先である白柳産業の社長・白柳櫻聖から突然の引き抜きを持ちかけられる。「戸口風奈をよこさなければ、取引を中止する」一方的な話に憤る風奈だが、恩ある人の会社を盾に取られては従うほかなく…。だけど風奈に与えられた仕事は、社長専属秘書という名の性欲処理係で!? 出勤初日から服を脱がされ、ファーストキスもまだなのに、体の奥まで開発されて――。》
G・ガルシア=マルケス『戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険』岩波新書・1986年
《ヨーロッパ亡命中のチリ反政府派の映画監督ミゲル・リティンは、一九八五年、変装して戒厳令下の祖国に潜入、『チリに関する全記録』の撮影に成功した。スラム街や大統領府内の模様、武装ゲリラ幹部との地下会見、母や旧友との劇的な再会……。死の危険を遂にくぐりぬけるまでの奇跡の六週間が、ノーベル賞作家によって見事に記録された。》
ゆりの菜櫻『絶対零度の挑発』プラチナ文庫アリス・2009年
《難攻不落なこの男を、啼かせてみたい――。サラディナ公国のミハイル公子と、その国を経済的に陥れる秘密任務についたエコノミストの加賀谷。国を賭けた策略を巡らす二人だが、お互いに強烈に惹かれ、相手を自分のものにしたいという欲望を感じていた。「君を抱きたい」「いや、抱くのは俺だ」しかし両者とも、本音は相手を押し倒したい。スリリングな恋の駆け引きに、普段はクールな加賀谷、そして遊び人のミハイルが、命を賭けるほどに、愛の深みにはまってしまい…?豪華❤袋とじは、短編&特製ピンナップつき!》
ミッシェル・セール『天使の伝説―現代の神話』法政大学出版局・2002年
《現代の科学技術がコミュニケーションのネットワーク上に実現したさまざまなメッセージ伝達システムを〈天使〉のアナロジーにおいて捉え,現代の神話として描く。》
堀江敏幸『仰向けの言葉』平凡社・2015年
《作家は芸術にどう向き合い、どう表現するのか? 絵、版画、写真、その作家たちをめぐる散文を収めた著者初、待望の「アート本」。》
白井聡・内田樹『属国民主主義論―この支配からいつ卒業できるのか』東洋経済新報社・2016年
《「尊米攘夷」化する日本。自発的隷従の論理と心理を抉り出す!「コスパ化」「消費者化」「数値化」「幼稚化」「階級化」をキーワードに徹底討議!「永続敗戦」レジームで対米従属を強化する日本。いつ、主権を回復できるのか。どのようなかたちで、民主主義を実現できるのか。》
後白河安寿/(株)サンリオ『サンリオ男子―勇気と奇跡のサンリオピューロランド』コバルト文庫・2018年
《高校一年の西宮諒は、サンリオキャラクター好きのサンリオ男子。三年の誠一郎、二年の康太、祐、俊介は大切な仲間だ。一年のみが参加するスキー合宿で、もう一人のサンリオ男子・昴との距離が近づいた――かと思いきや、その後はほとんど接触なし。そんな中、入試休みのバレンタインにサンリオピューロランドへ遊びに行く計画が持ち上がる。祐に誘導された諒は、昴を誘うことになったが…?》
松岡裕太『生意気な主、躾けます!』ガッシュ文庫・2009年
《「お前を俺の犬にしてやる」高校に進学した虎次は、代々政治家を輩出している家系のお坊ちゃま。自分に仕え、心も身体も通じ合える“犬”を従えることを夢に見ていた虎次は、目の前に現れたスーツ姿の若い男、つまり担任教師・奥菜雄大を見初め、いきなり宣言した! しかし、当然ながらまったく取り合わない雄大に焦れ、「既成事実」作戦を思い立つ。雄大を薬で眠らせて、保健室のベッドに縛りつけ、いざカラダの関係を…と、雄大のアレを自分のおシリにあてがうが…!?》
カール・シュミット『政治的ロマン主義』みすず書房・2012年
《「主観的機会原因論は自由な創造性の小さな島を見つけることができるが、しかしここですらも、無意識のうちに最も身近で最も強力な勢力に服従している。そして単なるオッカジオネルなものとして見られた現在に対するその優越性はきわめて皮肉な逆転を蒙らされる。ロマン的なるもののすべては他のさまざまの非ロマン的なエネルギーに仕え、定義や決断に超然としているというその態度は一転して、他者の力、他者の決断に屈従的にかしずくことになるのである。」
「政治的活動が始まるところで政治的ロマン主義は終わる」
ナチスへの道筋か、辛辣な批判か。全体主義を考える必須の書。解説・野口雅弘》
はらたいら『知的遊戯』角川文庫・1985年
《――映画「スター誕生」
バーブラ・ストライザントが恋人に言った。「死んだら殺すわよ」
気のきいた言葉。洒落た会話。殺し文句。そのひと言ですべてが狂う悪魔のささやき。ユーモアがあれば人生楽しくなる。ゆっくり生きれば、たっぷりものが見えてくる。
「クイズ・ダービー」で若い女性に圧倒的人気のはらたいらが、恋愛・遊び・人生について語ったユーモア・エッセイ集。》
大澤真幸『可能なる革命』太田出版・2016年
《「〈革命〉とは、このように、不可能だったことを可能にするような変化を、社会運動によってもたらすことを指す。」
私たちは、資本主義の本質的な限界を予感しているのに、その外についての想像力をもてずにいる。しかし、若者の幸福度調査、投票行動、デモへの参加などに読み取れるものは何か。『テルマエ・ロマエ』『桐島、部活やめるってよ』『半沢直樹』『あまちゃん』、そして『バートルビー』が示唆するものは何か。
無意識のうちに変化を、しかも劇的な変化を(その意味で革命を)私たちは求めている。であれば、私たちは、ユートピア(資本のネットワークをこえる普遍的な連帯)を構想できなくてはならない。
社会の夢読みとして、変化・解放・革命の可能性の根を探る14編の論考。多岐にわたる自身の探究の連関と展望を語る終章「革命を待つ動物たち」など、『atプラス』連載に20,000字の書き下ろしを加えた。》
火崎勇『最後に好きと言ってやる』もえぎ文庫・2011年
《傲慢なトップモデル鳴海の前に、小林と名乗る可愛い男が現れた。ほんの気まぐれからマネージャーに採用すると、小動物系の外見からは予想できない有能さを発揮する。その小林から憧れの目で見つめられることが、いつしか鳴海のやりがいに…。そんなとき世界的ブランドのモデルオーディションへの参加が決まった鳴海は、今までにないプレッシャーから小林を押し倒してしまう。翌日、彼は忽然と姿を消した…。初めて自分の気持ちに気づいた鳴海は…?》
月舘あいら『あまく溺れる恋の魔法』B-PRINCE文庫・2016年
《性別不詳のミステリアスなモデル・『DOLL』として活躍する透は、実は極度の恋愛不信。ある日、『DOLL』をどうしても自社のCMに起用したいと、化粧品会社社長の鷹条が透に会いにやって来る。透に一目惚れしたという鷹条は、仕事にかこつけて、透に強引で情熱的な求愛をし始めて!? 初めは苦手に思っていた鷹条から絶えず注がれる優しさと愛情に、透も次第に絆されて…。
あまい幸せで満たされる、溺愛の日々❤》
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