『森へ』は宇多喜代子(1935 - )の第8句集。
著者は「草樹」会員。
高々と来て夏蝶の白ばかり
初夢の縁者こぞりて吾に向く
親を喰う梟を見るだけの旅
目の前に羚羊の立つ物語
日もすがら金色をなす枯葎
恩師みな骨格で立つ花野かな
十二月八日のかたちアルマイト
老人に老人の影初詣
また八月 八句 より一句
汗の身の深みにひそむ火のゆらぎ
森へ
蛇の手とおぼしきところよく動く
むらぎもの心の一部月色に
八月に焦げるこの子らがこの子らが
死にはせぬといいつつ死んだ烏瓜
森の匂い書庫の匂いに似て晩夏
初湯結構湯気のもやもやも結構
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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