『夕茜』は深見けん二(1958 - )の第9句集。
作者は「花鳥来」主宰。「ホトトギス」「珊」「秀」同人。
光りしは蟻の運べるものの翅
五月雨の雨垂太く白くなり
九十を越してもバレンタインの日
潦雲を映して囀れる
遠くより扇子を持つて現れし
海の日の終るしばしの夕茜
介護士の腕のほどよき日焼かな
山茶花のこぼれ一日又過ぎぬ
ゆれやうも流れのままに水草生ふ
山門の無き石段や落花踏み
震災のテレビを消せば春の宵
何やかやあれど快音稲刈機
としよりの日や屋上に船眺め
枯蔓の影重なりて壁に揺れ
あれほどの暑さのこともすぐ忘れ
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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