『夢祝』は塩野谷仁(1939 - )の第8句集。
作者は「遊牧」代表、「海程」同人。
冬の野の前衛として一輛車
懐手いま深海の火山噴く
早春の夾雑物としてけむり
枇杷熟るる頃か研師のくる頃か
朝刊に起ち上がる象明日は夏至
睦月にはけむり訪ねん木に登らん
うしろにも青空はあり血止草
雁渡る夜は鏡のなか覗く
テレビの象から短夜がやってくる
人消えて次の人くる大夏野
身にふかく王国のあり藪柑子
振り向くな寒の星壊れてしまう
人の世に裸灯がありて梅雨菌
八月の孤独な犀を歩ませる
どの木から神話はじまる霧の中
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。