1月も不調続き。冬場は身心崩れるのは分かっていたのだが、年々越すのが難しくなってきた。外出不能になって、ハガキを出しに行くのに下手をすると一週間かかる。作業もみな後ろへずれ込み、本もろくに読めず。装幀で懐かしいのは講談社ノベルスの西村京太郎(辰巳四郎)、春陽堂文庫の江戸川乱歩(多賀新)、講談社文庫の池波正太郎(辰巳四郎)等。
荒巻義雄『猿飛佐助 疾風篇1―小田原攻めの巻』カドカワノベルズ・1990年
《明智光秀を倒した豊臣秀吉は、関東の雄小田原北条氏を攻略し、天下人となった。真田一門は小田原、朝鮮半島を転戦。歴史を史実通りに進むかにみえた。だが――討ち死にしたはずの明智光秀が世を忍ぶように京の街に現れ、千利休もまた秀吉の魔手を逃れ南蛮船で海外へ―。戸隠の神人九頭竜斎が仕掛けた武田信玄の遺計――鬼法黄泉流氏霊反しが作動し始め、歴史は異次元へ突入したのだ。猿飛佐助はついに霧隠才蔵と運命の出会いを果たす。だが信玄の血を引くこの異母兄弟は、自分たちが壮大な歴史改造計画の主役であることを、まだ知らない。
遠大な歴史シミュレーション。異次元痛快時代小説第二弾!》
荒巻義雄『猿飛佐助 疾風篇2―関ヶ原合戦の巻』カドカワノベルズ・1990年
《時は一六〇〇年、天下を分けた運命の日は刻一刻と近付いていた。秀吉亡きあと豊臣家を護ろうとする石田三成ら西軍と、徳川家康率いる東軍が激突するのだ。
歴史に介入するのは今をおいて他にない――真田幸村の密命を受け、猿飛佐助を総隊長とする鬼法軍団が結成された。わずか三〇〇の軍勢で東軍・西軍どちらも勝利させることなく、自らが唯一の勝者とならねばならない。二連発の新式短筒に装甲馬車竜神車、画期的新兵器を装備した真田忍軍は裏街道をひた進む。いざ関ヶ原!合戦の修羅場を驚愕させる秘中の秘策とは?
遠大な歴史シミュレーション。異次元痛快時代小説第三弾!》
荒巻義雄『猿飛佐助 疾風篇3―逆転関ヶ原延長戦の巻』カドカワノベルズ・1990年
《関ヶ原合戦に突入し、東軍総大将徳川家康を虜囚とした猿飛軍団。真田本隊と合流し、大垣城に立て籠ったものの、城外には徳川秀忠率いる東軍主力が迫っていた。
籠城戦に勝ち目はない。東軍の優勢を打ち砕くべく、猿飛軍団に新たな密命が下った。清州城を落とし敵の糧食を絶つのだ。闇を切り裂く忍者戦、敵を欺く奇抜な戦術。希代の謀将真田昌幸の奇略は、圧倒的な数の劣勢を覆すことができるか?徳川VS真田、歴史が爆ぜる決戦の時は刻一刻と近づいていた。
どのような歴史が創造されるのか? 電脳感覚で描く壮大なシミュレーション。異次元痛快時代小説第四弾!》
エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる―日本人への警告』文春新書・2015年
《冷戦終結と欧州統合が生み出した「ドイツ帝国」。EUとユーロは欧州諸国民を閉じ込め、ドイツが一人勝ちするシステムと化している。ウクライナ問題で緊張を高めているのもロシアではなくドイツだ。かつての悪夢が再び甦るのか?》
西村京太郎『特急「おき3号」殺人事件』講談社ノベルス・1986年
《山陰線を走る特急「おき3号」で、写真家の石田友二が刺殺された。捜査線上に浮かんだのは、友二の娘ゆう子のかつての恋人・山崎徹。だがその名に、十津川警部は困惑する。事件前日、とうの徹の結婚式に出席しただけでなく、寝台特急「富士」で宮崎へ向う二人を、東京駅に見送りまでしたのだ……。表題作他四篇。》
《著者のことば
鉄道で旅をする。車に乗る。歩く。どれでもいいのだが、私は、いつも日本の地形の複雑さを感じる。何日列車に乗っていても、窓の外の景色の変らないシベリアの原野や、延々と直線道路が続くアメリカ大陸などとは、決定的に違っている。私は、やはり、日本の旅の方に、複雑な人生を感じることが多い。殺意まで含めた人生を。》
収録作品=関門三六〇〇メートル/裏切りの中央本線/臨時特急を追え/最北端の犯罪/特急「おき3号」殺人事件
多田富雄『寡黙なる巨人』集英社・2007年(小林秀雄賞)
《脳梗塞で声をなくし、半身不随からの闘病記
脳梗塞で倒れたその瞬間を境にすべてが変わってしまった世界的免疫学者の多田富雄氏。半身不随となり、声をなくした著者の命がけのリハビリ闘病記と日々のできごとを綴ったエッセイ。》
山口昌男『アフリカの神話的世界』岩波新書・1971年
《アフリカ各地での実地調査をもとに,文化人類学の神話研究の成果をとり入れて描き出されたアフリカの神話的世界.異なった地域の原住民に伝わる神話を比較・分析し,神話の「伝播」と「変身」,さらに,その「構造」を考察する.原住民の世界を内側から理解することを通して,私たちの世界との関係,「第三世界」の真の意味を明らかにする.》
ユーシュル・モリナーロ『盗作者』角川文庫・1975年
《わたしは33年間、他人の人生を生きてきたのだろうか……。
あの日、フランツ・ウンダンク教授は、ハルツブルクの雪の山中に倒れていた。その死体から盗みとった一束の原稿がわたしを変えた。
わたしはそれをひそかに筆写し、英訳し、わたしの名前を冠して発表した。そのかたわら、ハルツブルク滞在中、わたしは教授の妻マルアンネと愛人ハナに接近したのだった……。
そして今、わたしはハルツブルクに帰ってきた、犯罪者が現場へ戻るように。
異常な告白を、前衛的な手法を駆使して描いた問題作。》
ヤンソン『ムーミン谷の彗星』講談社文庫・1978年
《長い尾をひいた彗星が地球にむかってくるというのでムーミン谷は大さわぎ。ムーミントロールは仲よしのスニフと遠くの天文台に彗星を調べに出発し、スナフキンや可憐なスノークのお嬢さんと友達になるが、やがて火の玉のような彗星が……。国際アンデルセン大賞受賞作家ヤンソンの愛着深いファンタジー。》
ヤンソン『ムーミン谷の仲間たち』講談社文庫・1979年
《すてきなムーミン一家を中心に北国のムーミン谷にすむ仲間たちの生活と楽しい雰囲気を描いた九つの童話集。ムーミントロールの親友で孤独と自由を愛する詩人のスナフキン、空想力豊かなホムサ、姿が見えなくなったニンニ、おくびょうでなき虫のスニフ……。国際アンデルセン大賞受賞作家ヤンソンの詩情あふれる楽しいファンタジー。》
ヤンソン『ムーミン谷の夏まつり』講談社文庫・1979年
《ジャスミンの香りにつつまれた六月の美しいムーミン谷をおそった火山の噴火。大水がおしよせてきて、ムーミン一家や動物たちは流され、ちょうど流れてきた劇場に移り住むことにした。ところが、劇場を知らないみんなが劇をはじめることになって……国際アンデルセン大賞受賞作家の楽しいファンタジー。》
桑原伶依『過激な狼男』セシル文庫・2010年
《ひょんなことから狼男の親子と暮らすことになった滝川真箏は、男同士ながらもラブラブな新婚生活を送っている。3歳と、まだ幼い子狼のルカは、変身が自由自在にできず月の満ち欠けによって姿が変わってしまうため、苦労することもあるのだが、真箏に日々の張り合いを与えてくれ、かけがえのない存在として愛情をそそいでいた。そんな中、知り合った大学生にルカの秘密を見られてしまい――。》
若桑みどり『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』ちくま新書・2003年
《コレット・ダウリングの『シンデレラ・コンプレックス』が刊行され、話題をよんだのは一九八二年。すでに二十年以上になるが、その間、「白雪姫」「シンデレラ」「眠り姫」などのプリンセス・ストーリーは、ますます大量に生産され、消費されている。大量に消費されるからその影響力も絶大である。本書では、ディズニーのアニメを題材に、昔話にはどんな意味が隠されているかを読み解く。いつの間にか思い込まされている「男らしさ」「女らしさ」の呪縛から、男も女も自由になり、真の男女共同参画社会を目ざす。》
ヤンソン『ムーミン谷の冬』講談社文庫・1979年
《まっ白な雪にとざされたムーミン谷。パパとママといっしょに冬眠にはいったのに、どうしたわけか春がこないうちにたった一人眠りからさめてしまったムーミントロール。はじめて知る冬の世界で彼のすばらしい冒険がはじまった……。冬のムーミン谷を舞台にヤンソンがつづるファンタジー童話の傑作。》
ヤンソン『ムーミンパパの思い出』講談社文庫・1980年
《自由と冒険を求めて海にのりだした青年時代のムーミンパパ。ユーモラスな竜との戦い、あらしでたどりついたゆかいな王さまの島、おばけと同居したり、深海にもぐったり……さまざまな冒険をしながら、ムーミンママと劇的な出会いをするまでをパパが書いたファンタジーあふれるムーミン童話六冊目の傑作。》
ヤンソン『ムーミン谷の十一月』講談社文庫・1980年
《まっ白な雪にとざされて、長い冬眠に入る前のムーミン谷の十一月……人恋しくてムーミン家に集まってきたフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、スナフキンたち。ところが、心をなごませてくれるはずのムーミンー家は旅に出ていて……。フィンランドの女流作家ヤンソンが読者に贈るファンタジックで魅力的なムーミン童話の最終巻。》
埴谷雄高『鞭と獨樂』未来社・1957年
《いまだ出現しないものをすでに見てしまっていなければならないというのが、私が文学に無理強いに負わせている凝視力であるが、ここに収めた文章のなかでそのような架空凝視の機能について充分言い足りているとは思われない。そのような主題が一本の芯となって連なっていない感じがしても、架空凝視の機能の展開は小説の方に譲って、ここではただ幾つかの文章のそこかしこにその文学的志向が隠見しているだけでよしとしなければならない。私のこれまで書いたエッセイ、評論、回想、随想などのすべてをここに集める……。(「あとがき」より)》
島村利正『桐の花』日本経済新聞社・1978年
《名のある桐箪笥屋の娘として、育ち歩んだ彼女の来歴を聞いているうちに、家具史のことはともかく、戦争前の昭和史を背景に、藤辰の娘、藤村冬子の歩んだ足跡を、別なかたちで綴ってみたいような気持になったのである》(「創作ノート」より)
笠井潔『国家民営化論―「完全自由社会」をめざすアナルコ・キャピタリズム』カッパ・サイエンス・1995年
《社会主義崩壊後、多くの人が無批判に受け容れている現在の社会システム。その限界と欠陥を、“ラディカルな自由主義者”笠井潔が鋭く指摘、理想の社会構想を提示する。たとえば、遺産相続や税金の撤廃。警察、刑務所、厚生省や文部省の民営化。安楽死や自殺を基本的人権にすること…。過激に、論理的に、21世紀自由社会は本書から始まる。》(「BOOK」データベースより)
江戸川乱歩『猟奇の果』江戸川乱歩文庫・1987年
《妖美幻想の世界を万華鏡のプリズムを通して描く巨匠・江戸川乱歩の代表的名作!
――この物語の主人公は、名古屋市のある資産家の次男で、名を青木愛之助という。
愛之助は猟奇の徒であった。愛之助の大学以来の友に品川四郎という通俗科学雑誌社を経営する男があった。招魂祭でにぎわう九段で、愛之助はその品川に瓜二つのスリに出会ったことが、それからの怪奇な事件の幕明きであった!
銀座裏の陰気なカフェーでポン引き紳士にさそわれ、愛之助は「秘密の家」に案内された。そして、そこで見たものは? 品川四郎そのままの幽霊男が出没するところ怪奇な事件はつづく! 郊外の寂しい家で女の生首をもてあそぶ幽霊男! 物語はいよいよ佳境へ……。 》
村山斉『宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門』講談社ブルーバックス・2011年
《最新の理論と実験から迫る全く新しい宇宙観宇宙の90パーセント以上は得体の知れない暗黒物質と暗黒エネルギーからできている。その正体を探っていくと多くの次元と宇宙が見え隠れしているというのだ。
最新の理論と実験から迫る新しい宇宙論
宇宙の全体を調べてみると、目に見える物質は5パーセントにも満たなくて、残りの約96パーセントは正体不明の暗黒物質と暗黒エネルギーだというのです。私たちは、目に見える宇宙こそ宇宙だと思ってきましたが、最近になってそれがまったくの間違いであることがわかってきたのです。暗黒物質と暗黒エネルギーの正体を探っていくと私たちには目に見えない多くの次元と無数の宇 宙が存在しているのではないかというのです。急展開を見せる宇宙の最前線をふまえて「宇宙とは何か」を問い直す最新宇宙論入門。》
瀬戸内晴美『白い手袋の記憶』中公文庫・1984年
《初期の代表作「女子大生・曲愛玲」をはじめ、女の愛と生をみずみずしい文体で多彩に描きわける処女短編集。後の多様な作品群の原型を示す九篇を収める。》
収録作品=女子大生・曲愛玲/時をつくる雌鶏/訶梨帝母/牡丹/川風/痛い靴/吐蕃王妃記/塘沽貨物廠/白い手袋の記憶
佐野洋『地下球場』角川文庫・1982年
《プロ野球開幕戦の当日、弁護士をしている小智新は、球場外野席でよく喋る妙な男に出遇った。その男は“事業”のことで相談があるといって、2日後、事務所へやって来た。――現在のプロ球団で独立採算できるのは、人気のある巨人軍のほかには、ほんの1、2チームで、あとは親会社の宣伝を負わされている、本質的にはノンプロチームと大差はない。その上、スカウト合戦やら球団運営には膨大な金がかかる。そこで、各球団が事業として成り立つような“謀略”を一手に引き受ける会社を作ってみようと思うのだ――と、驚くべきことを言いだしたのだった。
プロ野球の人気拡大を影で自在に操る《桜機関》の存在、会心の長編傑作!》
池波正太郎『梅安最合傘―仕掛人・藤枝梅安』講談社文庫・1982年
《命の恩人が敵持ちの極悪人と知って、梅安の気持は複雑微妙。だが、目を覆う悪逆ぶりに心は決まる。“恩人”を仕掛ける表題作。仲間の剣客小杉十五郎を狙う浪人を逆に葬る「梅安流れ星」。仕掛けの現場を見られて苦境に陥る「梅安迷い箸」他三編。凄絶な死闘と人情の機微を描いて一気に読ませるシリーズ第三集。》
収録作品=梅安鰹飯/殺気/梅安流れ星/梅安最合傘/梅安迷い箸/さみだれ梅安
杉原理生『世界が終わるまできみと』幻冬舎ルチル文庫・2007年
《中学2年生の速水有理は、父親と弟と3人で暮らしていた。やがて3人は父の友人・高宮の家に身を寄せることになるが、そこには有理と同じ歳の怜人という息子がいた。次第に親しくなり、恋に落ちる2人だったが……。怜人との突然の別れと父の失踪から5年後。大学生になった有理は弟の学と2人で慎ましやかな生活を送っていた。そんなある日、怜人と再会するが――。》
松前侑里『コーンスープが落ちてきて』ディアプラス文庫・2009年
《スーパーで食材を物色していた瑞希の頭の上に、突然スープ缶が落ちてきた。 犯人は同じ高校の上級生・和真。咄嗟に心配してくれた和真は優しかったのに、話してみたら口が悪くて皮肉屋で、料理に関してもことごとく意見が合わない。保護者である叔父のことを一生好きでいられる自信のある瑞希だが“恋愛の賞味期限は短い”が持論の和真と出逢って、どう変わっていく? 書き下ろしデリシャス・ラブ♡》
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