『櫨の実の混沌より始む』は加藤知子(1955 - )の第2句集。
作者は「海程」「拓」を経て「連衆」「豈」同人。
月下美人咲く産道をひろげつつ
花びらとターミナルケア―とに分かれけり
春景色くずれて空にミサイル痕
湯豆腐や薄くらがりに置く包丁
ふるさとに蝶放たるる水源行
秋暑し小股にはさむ大言海
尉鶲のぶつかる窓の嘆くなら
博多人形もバカラグラスも割れ日永
ガラパゴス諸島に行くならお正月
原子炉のくがたちめけば花の冷え
図書館の入り口さくらさくらんす
餅黴を深くえぐりとるちちはは
群青の回廊のつづき八雲立つ
炎昼として震洋艇とすれ違う
スティーブ・ジョブズに向けて春日(かすが)ぼうぶらの列
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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