『十太夫』は高橋龍(1929 - )の「句控」。
股下か膝上かさて日脚伸ぶ
ゴッホの古靴春の泥濘(ぬかるみ)踏みにけむ
春めくとヒエログリフで書けばよい
春昼やわずらはしきは本の帯
巫女の緋の袴の春の日の光り
安保理に核爆弾の檸檬置く
葉桜の中のマニエリスム騒ぐ
綱渡りするかのようにさす日傘
AIと隠獣歩むさねかづら
浜と浦互ひ違ひに春の海
ペガサスに男の乳を飲ますなり
秋茄子と阿蘇何気なく名告り合ふ
野の果てのベケットの木に鳴く懸巣
十頁読む一糎積もる雪
鱈(たら)肝臓(レバ)と轢死(れきし)を中洲(なかす)琴(こと)啼(な)かれ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。