『赤鬼の腕』は中内亮玄(1974 - )の第2句集(第1句集の他に句文集一冊あり)。評論4篇も収録。
作者は「海程」「狼」同人。
黒縁の眼鏡に明朗なる大寒
雪の夜は彼方の森が近くなる
子どもといふ実に無気味な輪を覗く
九十九折りの花見の坂に少女ら揺れ
関東平野は力任せに繁る波
先に酔う明るい夜に狼いて
月よ子が石は死なんくていいなと言ふ
雨は静かな約束のかたち銀杏散る
曼珠沙華生まれる前の風でした
雪原遥か背中の開いた雪女郎
春の雨一円玉の降るように
春隣いつか鰐だった鞄
プールから健やかな脚戦めく
海に出て何もない春の何もない
誰か死んで君だけ正しくなる三月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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