『動詞』は林桂(1953 - )の第8句集。
作者は「鬣」代表同人。
山(やま)笑(わら)ふ
息吹(いきぶき)
二君(にきび)
雲形定規(くもがたぢやうぎ)
花(はな)笑(わら)ふ
地球(ちきう)
水漬(みづつ)く
留守番電話(るすばんでんわ)
絵本(えほん)が走(はし)る
至極(しごく)
悦楽(えつらく)
百鯛図(ひやくたいず)
蝶(てふ)遊(あそ)ぶ
全身(ぜんしん)
光(ひか)る
喜(よろこ)びを
海(うみ)光(ひか)る
宇宙(そら)の
真闇(まやみ)へ
向(む)かひつつ
一世(ひとよ)匂(にほ)ふ
祖母(そぼ)の
手明(てあ)かり
芽(め)の通草(あけび)
泣(な)き虫(むし)も
芋虫(いもむし)も
容(い)れ
青山河(あをさんが)
霧(き)らふ
切株(きりかぶ)
彼方(かなた)といへば
音(おと)止(や)まず
嵐(あらし)吹(ふ)く
此処(ここ)は
ビッグバーンを
遠(とほ)くきて
螻蛄(けら)泳(およ)ぐ
田水(たみず)
碧(みどり)の
雲井(くもゐ)かな
眠(ねむ)れ
山河(さんが)に
光(ひかり)あるうち
父母(ふも)あるうち
水(みづ)開(ひら)く
崩(くづ)れ
続(つづ)ける
喜(よろこ)びに
海(うみ)に触(さは)れば
少年(せうねん)
少女(せうぢよ)
光(かげ)に溶(と)く
漂(ただよ)ふ教室(けうしつ)
既(すで)に
机下(きか)まで
海(うみ)の潮(しほ)
星(ほし)の終(を)はりは
風(かぜ)吹(ふ)く
さくら
さくらかな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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