『人類』は安田中彦(? - )の第1句集。帯選句:岡田耕治。
作者は「香天」所属か(奥付に略歴無し)。
欲望の機械よ朧なる人よ
衛星を見うしなひたるさくらかな
春郊や児なき夫婦の遊びをり
玉葱の中へ中へと漣す
人体に鍵挿しこめば黒ぶだう
病みゐるは母の曠野に古箪笥
蒼ざめた馬は父なり大枯野
蟋蟀の眉間に山河ありにけり
秋出水この世の外へ髪流る
死にぎはの鯨見にゆく日曜日
ゑはうとは大亀暮らすガラパゴス
筍や雨粒ひとつふたつ百 藤田湘子
箱庭に原子炉ひとつふたつ百
戦後史のからだがスパゲティになる
恋人がふいに拡散して笑ふ
戦争の映像ひとつ椅子ふたつ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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