『浮上』は野崎海芋(1968 - )の第1句集。序文:小澤實。
作者は「澤」同人。
日焼して汝が背わが肩ほてり合ふ
微風立つ西瓜二つに割りたれば
雪晴やこどものこゑのよくひびく
マグダラのマリアが髑髏堂に冷ゆ
いんいんと蜂の子蜂となる朝
春闌けてさかなに進化する途中
シロナガスクヂラの浮上轟ける
チューリップ閉ぢたる内のうすあかり
蛍生(あ)るさなぎ内側より光り
木星はガスの塊水鶏(くいな)鳴く
弁当の隙間蚕豆詰めにけり
犬山城
城の梁触れて鑿跡涼しいぞ
ヘアピンの形(なり)に錆ありプールの底
兜蟹かさなり合へる月夜かな
ジェットコースター遠く落下の声爽やか
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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