『青女月』は泉沢浩志(? - )の第4句集。跋:木下夕爾、畠山義郎、渋沢均。
作者は日本文芸家協会会員。
散る桜まみれの屍(かばね)かうたた寝か
種浸し水面の星も片寄せて
野火尽きしあたり火伏せの枝挿して
太虚(おおぞら)のこゑ混じりをり風車
子遍路のみるみる小さく近づけり
回転ドア春逝く町を小刻みに
水ゑくぼ生まれ止まずよ法然忌
蜻蛉の伴れにも影のなかりけり
大花野電信兵まだ死んだまま
レコードの針下ろすさま秋の蜂
せり声に鮟鱇の口みな欹(そば)だつ
影を脱ぐやうに放るる焚火かな
狐火のとびとびとびの果てのとび
宇宙飛行士土井氏
冬麗や宙泳ぐひと影落さず
襟巻のきつね小さな敵意あり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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