『あんこーる』は後藤比奈夫(1917 - )の第15句集。
作者は「諷詠」名誉主宰。
人形が言ひぬ読書の秋ですよ
抱へられ初湯に浸りゐる不思議
柱状節理板状節理冬怒濤
老の目を侮つて大綿ふはふは
百歳となりし今年の年の豆
一世紀何してをりし春逝くに
六月二十二日 立夫逝く
手を握り笑つて露の訣れとは
初七日
愚かやな祇園囃子に誘はれて
養老の瀧 三句 から
酒の香のせしといふ滝まのあたり
怖かりしものに鱧の目鱧の口
江戸時代からの涼しき梲と見
端居してゐても亡き子のことばかり
シンガポール望見
ややちがふシンガポールの夏の雲
「俳句文学館」へ新年詠
あらたまの年ハイにしてシヤイにして
受けてみよ上寿の老の打つ豆ぞ
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。