相変わらず読めない日が続いて、「まんがらんど」閉店セールのときのラノベ、BL等の表紙が多い。『さらば宇宙戦艦ヤマト大百科―愛の戦士たち―』は小学生の頃持っていて、閉店セールで再入手したもの。
角川文庫の高木彬光作品2点は日暮修一がカバー絵を描いているが、このところ高木彬光以外にも森村誠一、戸川猪佐武、シューヴァル&ヴァールー、フォーサイスなど角川文庫の日暮修一装幀本がちょくちょく手に入ってしまって結構溜まっている。
瀬山由里子『織と布そして猫とヴェネツィア』、佐相憲一・鈴木比佐雄編『日本国憲法の理念を語り継ぐ詩歌集』、物部鳥奈『世界の終焉と美しき獣』は版元または著者から寄贈いただきました。記して感謝します。
高木彬光『人蟻』角川文庫・1973年
《――安い原料から、ばく大な利益を生み出す砂糖。その魅惑的な甘い汁に、蟻のように吸いよせられる人間の群れ。巨大な利益が悪をひきつけ、“犯罪”が芽生える。資本金何億かの精糖会社の一大秘密があばかれたのは、弁護士・百谷泉一郎の正義に燃える血と刃物のように鋭い推理の冴えがあったからだ。政界と癒着した、うす汚れた経済界の隠された秘密に挑戦する高木彬光の本格経済推理の決定版!》
高木彬光『幻の悪魔』角川文庫・1979年
《突然、法律事務所にとびこんできた見知らぬ男が、弁護士の帰りを待っている間に毒死してしまった。所持品は薬の空壜、喫茶店のマッチ、若い女の写真――それに真ん中からちぎられたスペードのジャックのトランプが一枚。
身許割り出しに動き始めた捜査陣は、事件の裏に1兆数千億円にのぼる詐欺事件がからんでいるのを知った。しかも、第一の事件がおこった法律事務所に「沈黙せよ」と書かれた脅迫状と、またも半分にちぎられたトランプが送られてきた。トランプは死を暗示する警告なのか。
検事霧島三郎が、巨額の金と親娘の愛憎をめぐって起きた連続殺人の謎に挑む傑作長編推理。》
中島河太郎・権田萬治編『犯罪教室ABC―日本代表ミステリー選集12』角川文庫・1976年
《この〈日本代表ミステリー選集〉は、九〇人の第一線の作家によって戦後発表されたミステリーの中から、名作の名に価する短編一二〇編を選び、全十二巻に編集しました。
殺人事件の犯人の追求やアリバイ崩し、トリックの興昧のみにとらわれることなく、犯罪者の微妙な心理・動機、超自然の奇異な出来事を扱った作品など、バラエティに富んだ内容とするよう配慮してあります。
従来のミステリーファンには新しい感動と発見を呼び起こし、これからミステリーに親しもうとされるかたがたには、そのすばらしい魅力を十分に知っていただけるでしょう。》
収録作品=喘息療法(結城昌治)/死神に追われる男(新田次郎)/陶貨(加納一朗)/天使の墓場(五木寛之)/尊属殺人事件(和久峻三)/歯には歯を(大藪春彦)/親友記(天藤真)/淋しい草原に(高城高)/深夜の秘儀(小林久三)/月と手袋(江戸川乱歩)
北杜夫『マブゼ共和国建国由来記』集英社文庫・1985年
《目下、鎖国状態にある宇宙最小の“マブゼ共和国”。気宇壮大、北主席自ら国旗を制定し、通貨まで準備した、あの意気軒昂さはいったいどこへ消えたのか!? また、国民(家族)のクーデターを鎮圧してまで、なぜ国家財政(家計)の赤字解消に乗り出したのか!? 今、ここに主席自ら明かす珍無類の建国騒動回顧録他。
解説・奥野健男》
養老孟司『唯脳論』ちくま学芸文庫・1998年
《文化や伝統、社会制度はもちろん、言語、意識、そして心……あらゆるヒトの営みは脳に由来する。「情報」を縁とし、おびただしい「人工物」に囲まれた現代人は、いわば脳の中に住む――脳の法則性という観点からヒトの活動を捉え直し、現代社会を「脳化社会」と喝破。さらに、脳化とともに抑圧されてきた身体、禁忌としての「脳の身体性」に説き及ぶ。発表されるや各界に波紋を投げ、一連の脳ブームの端緒を拓いたスリリングな論考。 解説 澤口俊之》
G・K・チェスタートン他『ビバ! ドラゴン』ハヤカワ文庫・1981年
《法に背を向ける無頼の徒ラブロック卿。つね日頃、人目をはばかるこの男、おのれの変幻自在に出没する術をかけ、世間を騒がす悪竜退治へとのりだした……ミステリ作家としても名高いG・K・チェスタートンがユーモラスに綴る「竜とカクレンボ」他、キャロル的ナンセンス溢れるL・F・ボームの「王さまの首とムラサキ・ドラゴン」、モダン・ホラーの第一人者R・ブロックの異色作「ドラゴンの執念」など、空想上の動物のなかでも、その特異なキャラクターで知られる人気者ドラゴンをテーマに、五人の著名な作家達が書き残した傑作ファンタジイ》
収録作品=王さまの首の不思議な冒険(L・フランク・ボーム)/ムラサキ・ドラゴン退治(L・フランク・ボーム)/最後のドラゴン(E・ネズビット)/竜とカクレンボ(G・K・チェスタートン)/ドラゴンの執念(ロバート・ブロック)/コンラッドと竜(L・P・ハートリイ)
H・ジェイムズ『デイジー・ミラー』新潮文庫・1957年
《何事にも開放的なアメリカ人気質をさらけ出して振舞い、ヨーロッパの人々の顰蹙を買う娘デイジーと、彼女の魅力にひかれながらも、その行動を理解しきれない青年ウィンターボーン。二人の談い恋を通して、旧大陸と新大陸の文化の相容れぬ側面を鋭く描き出している。 20世紀“心理主義小説”の先駆者となったアメリカの作家ヘンリー・ジェイムズの初期の傑作である。》
ショーナン工房、スタジオ・オズ編『さらば宇宙戦艦ヤマト大百科―愛の戦士たち―』勁文社・1979年
《もくじ
映画名場面集
さらば宇宙戦艦ヤマト 誌上映画館
さらば宇宙戦艦ヤマト大百科
宇宙戦艦ヤマト2 TV製作ルーム密着取材
ファンクラブに入ろう
ヤマト大事典
プロデューサー・メッセージ
「ヤマトより愛をこめて」、「テレサよ永遠に」、「好敵手」楽譜集
ヤマト・カタログ
読者プレゼント》
ジャン=ポール・サルトル『サルトル全集 第12巻 想像力の問題―想像力の現象学的心理学』人文書院・1955年
《『想像力の問題』は、その副題が「想像力の現象学的心理学」となっていることからもわかるように方法として現象学(注2)を用いている。この現象学に学びつつ、サルトルは意識の本質について次のように言っている。「一切の意識は何ものかについての意識である。(・・・・)意識は意識にとって異質の対象をめざす(注3)。」「何ものかについての意識であるかぎりにおいて、それらはその何ものかに対して〈志向的関係を持つ〉(注4)」のである。「対象をあるがままに成立させるのはこの志向(対象を目指す意識の働き)である(注5)。」 》
ナン&アイヴァン・ライアンズ『料理長殿、ご用心』角川文庫・1985年
《美貌の料理家、ナターシャ・オブライエンは、女王陛下のデザートを作るため、ニューヨークからロンドンに招かれた。だが、その到着を待っていたかのように、彼女の行く先々、ヨーロッパ各地で腕ききのシェフが殺されはじめた。
まず、ロンドンではサヴォイ・ホテルのシェフが“小鴨の包み焼”風にオーブンで焼き殺され、ローマではこれまたイタリア屈指のシェフが“アラゴスタ・アラ・カルチオフィ”風に背中を切り裂かれた。そして第三の犠牲者は“鴨、血入りソース風”に……
獰猛な〈料理人〉は誰? はたしてナターシャの運命は?――ユーモアとウィットの衣にくるみ、適量のポルノスパイスで仕上げた逸品ミステリー。》
町口哲生『教養としての10年代アニメ』ポプラ新書・2017年
《受講条件は週20本の深夜アニメ視聴?ネットで話題となった近畿大学の講義が遂に書籍化!2010年代を象徴する7作品を分析。》
久我有加『恋は愚かというけれど』ディアプラス文庫・2009年
《大学生の謙人はサークルの後輩の進藤に片想い中。進藤の潔い性格と男らしい容姿を、ほぼひと目惚れ状態で好きになり、穏やかな性格の謙人を進藤も慕ってくれている。このまま一番仲のいい先輩としてそばにいられればいい―そう思っていたある日、進藤から友人の吉島が好きだと相談をされてしまう。辛い気持ちを隠し、進藤の恋を応援することになる謙人だが……? 同い年の後輩×先輩のさわやかキャンパスラブ♡》
エラリー・クイーン『日本庭園殺人事件』角川文庫・1967年
《女流作家カーレン・リースがアメリカの有名な文学賞を受けた。喜んだ版元はワシントン・スクエアにある彼女の豪華な日本庭園で祝賀会を催した。あでやかに和服をまとったカーレン・リースは上品な美しさを漂わせていた…。
だがその彼女の上に突然の死が訪れた。あとには数々の謎が……。
日本情緒豊かに展開されるエラリー・クイーン国名シリーズ第9作。》
吉本隆明『状況』河出書房新社・1970年
《大学紛争、都市問題から沖縄闘争に至る時代的課題を捉え、横行する種々の思想潮流への原理的批判を通して独自の自立思想の展開を示す待望の状況論》
瀬山由里子『織と布そして猫とヴェネツィア』風の花冠文庫・2017年
《決して感情的にならずに、穏やかに舌鋒鋭い批評をする場面に何度か出会った。ぶれない価値観が、穏やかな日々の根底にあり、豊かな生活を形作っていたのだろう。 林 桂》
《書かれた文章には日常と地続きのユーモア、好奇心、気っぷの良さなどが姿を現す。とはいえ好きと面白いを楽しむ「私」だけではない。いまを生きる「私たち」もまた日常の地続きとしてそこにいる。 水野真由美》
佐相憲一・鈴木比佐雄編『日本国憲法の理念を語り継ぐ詩歌集』コールサック社・2017年
《「序文に代えて」を寄せてくれた色川大吉氏は「くに」を強引に「国家」に集約させる国家主義を「邪悪な意図」と指摘する。そんな個人の尊厳や自由や生命を二度と喪失させないために、歌人・俳人・詩人たちはどんな作品を書いているか。平和憲法の理念を語り継ぐ二二三名の作品を読んで頂きたい。(鈴木比佐雄 解説文より)》
松前侑里『プールいっぱいのブルー』ディアプラス文庫・2007年
《高校入学と同時に一人暮らしをすることになった夏希。お隣のかっこいいお兄さん、圭介に一目惚れをするが、彼には千晶という美人の同居人(男)がいた。料理も上手で仕事のパートナーでもある千晶の二人に可愛がられながらこっそり胸の痛みを堪えていた夏希だが、ある日圭介にいたずらでキスをされ……? プールのあるアパート、オゾン荘を舞台に夏希の恋と成長を描く、夏色青春物語♡》
坂井朱生『たとえばこんな言葉でも』幻冬舎ルチル文庫・2006年
《河合実友は高校3年生。父親が単身赴任でいないため一人暮らしをしているが隣人・桐沢旭と恋人同士になった今では、お互いの家を行き来する毎日。一回り以上も年上で多忙な桐沢を気遣い、言いたいことを我慢してしまう実友に桐沢は甘えるよう言い聞かせる。好きになればなるほど怖くてなにも言えなくなる――そう思い甘えられない実友は……!? 》
玉木ゆら『ご近所さんと僕』ディアプラス文庫・2008年
《ごくごくフツーの高校生・大津悠斗は、血の繋がらない父・弥太郎と二人で仲良く暮らしている。そんな大津家のお向かいに住む山田彰は、ご近所のアイドル―なんだけど、実はオトコ(!)で悠斗の恋人。彰との関係をカミングアウトしようとしていたある日、弥太郎が突然「彰さんを口説く!」と言い始めたからさあ大変。前途多難な恋の行方は!? 空回りする二人のスラップスティック・ラブ!!》
ツガワトモタカ『火界王剣の神滅者』HJ文庫・2013年
《五年前の《大魔災》を機に、日本列島は魔術師となった人間と魔族が共存する地――すなわち魔界と化していた。そんな中、最強種の魔族との修行の末に世界屈指の魔術師となった少年・夏彦は、先に魔術師として覚醒していた最愛の少女・織姫をこの手で守るべく、五年ぶりに日本へと帰還する。しかしそれは、神滅の魔王の遺物を巡る戦いの始まりでもあった!!》
ツガワトモタカ『火界王剣の神滅者2』HJ文庫・2013年
《魔界と化した日本へと帰還し、最愛の少女・織姫との新たな学園生活を満喫する魔術師の少年・夏彦。そんな中、夏彦も所属する治安維持組織《イデアル》に、療養のため戦線を離脱していた美少女ヘルガが復帰することとなった。可愛くて優しいヘルガに友人として好感を持つ夏彦。だが、本物の吸血鬼だという彼女は、その内側に重大な秘密を抱えていた!》
幼訓じみ『異世界の迷宮都市で治癒魔法使いやってます①』モンスター文庫・2014年
《大学生の佐藤四季は、目が覚めると異世界の迷宮都市に飛ばされていた。そこで治癒魔法に目覚めた彼だったが、怪我を治す代わりにセクハラなんてしていたものだから、ついに勤めていた治療院をクビになってしまう。途方にくれる四季。しかし、彼は生きるため冒険者として迷宮に潜ることを決意する。そして、傷ついた奴隷の少女ユエルと出会い――。「小説家になろう」で大人気の異世界ハーレムファンタジーが、ついに書籍化。書き下ろし番外編の「初めてのおつかい」では、四季が迷宮都市にやってきた直後、本作の前日譚が描かれる。》
幼訓じみ『異世界の迷宮都市で治癒魔法使いやってます②』モンスター文庫・2015年
《異世界の迷宮都市に飛ばされ、治癒魔法に目覚めた佐藤四季。チートな治癒魔法を駆使し、無事エリスの治療院を買い戻した四季は、ユエルとともにエリスの治療院に住まいを移す。こうして男一人女二人のドキドキな新生活が始まった。しかしそんな中、クランクハイトタートルという魔物の存在が発覚する。四季は騎士団の要請を受け、討伐隊に参加するのだが――。「小説家になろう」で大人気の異世界ハーレムファンタジー、待望の第二弾。書き下ろし番外編の「迷宮都市での日常」では、街中で結婚式を見かけ、興味津々なユエルの姿が描かれる。》
硝子町玻璃『異世界の役所でアルバイト始めました①』モンスター文庫・2014年
《銃を持ったコンビニ強盗相手に、モップ一本で立ち向かうような高校生・藤原総司。彼はバイト先のコンビニが閉店してしまったので、新しいバイトを探していた。そんなとき、総司は尖り帽子にローブを着た、いかにも魔女な外見の美女・ヘリオドールが道端で項垂れているのに出くわす。何事かと様子を見に行くと、辺りにはチラシが散乱していた。「異世界の役所でアルバイト……?」「あっ、時給高い!」こうして、総司はファンタジー&ハーレムな異世界の職場に飛び込んだ―「小説家になろう」発、大人気お仕事ファンタジー、全編大幅書き直しで待望の書籍化!》
物部鳥奈『世界の終焉と美しき獣』私家版・2017年
《地球と地球のパラレルワールドを舞台とした祈祷詩です。
私が在籍している歌誌『玲瓏』の創刊人であった塚本邦雄にも
『眩暈祈祷書』や『反婚黙示録』など聖書を題材にした作品があります。
本作は聖書というよりは命・知・時について
羊飼いの少年が想いを馳せた神話の世界を借りています。
破壊神である〈貴女〉を
破壊された何世紀も後の世界に住む〈テルラ〉少年が探す物語です。
少年を精霊たちが見守ります。》
三浦展『第四の消費―つながりを生み出す社会へ』朝日新書・2012年
《高度成長、オイルショック、バブル、そして長引くデフレ……日本人の消費は発展段階に応じて変遷し、消費の単位も「家族」「個人」と変わっていった。次に消費が向かうのはどこか。消費社会マーケティングの第一人者が大胆に描く近未来予想。物から人へ! 日本人の豊かさが変わる。》
田中啓介『造園学のリボンをつけた家』書肆盛林堂・2017年
《まぼろしの「少年ダダイスト田中啓介」。
稲垣足穂の「バンダライの酒場」は、大正十四年五月発行『ゲエ・ギムギガム・フルルル・ギムゲム』 に掲載されました。その足穂の紹介で田中啓介は、「こはれた玩具の話」によってデビューし、大正の末から昭和の初期にかけて、彗星のように駈けぬけました。石野重道にも連なる田中啓介は、その掲載誌が『G・G・P・G』『文芸耽美』『クロネコ』『ドノゴトンカ』『狐市街』『MAVO』『戦車』『薔薇魔術学説』『影』『海の晩餐』など、どれも、超稀購モダニズム同人誌への執筆ばかりでしたので、作品の収集は絶望的だとされていました。今回、北園克衛研究家であるカトウジン氏の協力により、東都我刊我書房で、はじめて、詩・コント・小説・散文が集成されることになりました。解説は、稲垣穂足の研究家である沼田とり氏にお願いしました。極小部数での発刊となりますので、お買い逃しのなきよう、よろしくお願い申し上げます。》
ピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ詩集』みすず書房・2011年
《20世紀を代表するイタリア詩人は誰であったか? 前半のウンガレッティは措こう。現代の民衆に一番近いところにあって、卑小な悲しみから天下国家の行く末までを、イタリアの言語的多元性と、過剰な実験に訴えつつ、伝統の韻律にも忠実であった詩人こそ、他ならぬこのピエル・パオロ・パゾリーニである。
映画監督(『アポロンの地獄』『テオレマ』『奇跡の丘』など)や小説家(『生命ある若者』『アッカトーネ』など)としてのパゾリーニは日本でも知られているが、詩人としての重要性は少数のみの知るところであった。その欠陥を埋めるべく映画研究・評論・詩と多才な訳者は長年にわたって翻訳に取り組み、ボローニャに滞在し、ようやく一巻の詩選集を仕上げた。
母方の故郷でフリウリ語を敢えて用いた初期の詩集『最高の青春』から、政治社会を歌う『グラムシの遺骸』や代表作『薔薇の形をしたポエジー』など7冊の詩集より、ベストと思える作品を選び出し、日本には少ない長編詩のリズムに心して訳された全37篇。
異端と醜聞、歴史と性愛の交錯点で、情熱と受難の詩人として駆け抜けたパゾリーニの軌跡を、序文、解題、訳注、年譜とともに受け取っていただきたい。》
横溝正史『金田一耕助の冒険2』角川文庫・1979年
《通称“夢見る夢子さん”、金田一耕助が時々通うパチンコ屋の看板娘が、突然、何者かに殺害された。彼女は、三年前に謎の死を遂げた彼女の姉と同様に、焼け跡の廃墟から死体で発見された。彼女から姉の死について調査を頼まれていた金田一は、報せを聞いて愕然とした。しかも彼女は、金田一耕助名の手紙でおびき出され、命を落したのである。
憎むべき不敵な犯人に対し、金田一と等々力警部は怒りの捜査を開始した。(「夢の中の女」)
オムニバス風に一話完結の形態をとった、金田一耕助の事件簿PART2。》
収録作品=夢の中の女/泥の中の女/柩の中の女/鞄の中の女/赤の中の女
光瀬龍『寛永無明剣』角川文庫・1982年
《時は寛永年間――“大阪夏の陣”の戦が終わって19年、いまだ世情は定まらず、各地には機会があれば討幕を企てる勢力が蟠踞し、戦乱をのぞむ浪人武士団が巷にあふれていた。
松平伊豆守の配下、与力六波羅蜜たすくは、反幕陰謀事件を追っているさなか、柳生の差し向けた刺客に襲撃される。将軍指南役の柳生が、なぜ、豊臣の残党に加わっているのか疑問であった。その後、町奉行などを狙う暗殺事件が相次いで起こった。たすくはこれらの事件の背景に、膨大な時の流れの果て、人類終焉のはるか未来から迫り来る恐るべきたくらみを知ったのだ……。
史実にそいながら雄大なスケールで描く、時代SFの傑作長編。》
ロジェ・カイヨワ『幻想のさなかに―幻想絵画試論』法政大学出版局・1975年
《たとえば発信者(画家)と受信者(見る者)とメッセージの関係から幻想の発現形式を分類規定しようとするカイヨワは、ある意味で、トドロフ以上に構造分析的なディスクールを駆使していたのではないか。》(訳者あとがきより)
M・A・アストゥリアス『マヤの三つの太陽』新潮社・1976年
《炎の太陽、風の太陽、火の太陽……。古いマヤに伝わる太陽神話とラテン・アメリカの苛酷な歴史を融合しつつ、奔放自在な詩作を展開した巨匠75年の集大成》
末木文美士『日本の思想をよむ』角川書店・2016年
《転換期をいかに生きるか。伝統とは、日本とはなにか。
古事記、 仏典から国家論、そして日本国憲法まで――。
思想史を彩る43編を、現代人のために今、ひらく。
「自然を考え、人間を考え、社会や国家を考えるのに、先人たちはこんなにすばらしいさまざまなヒントを与えてくれる。日本の思想がこれほど多様で新鮮なアイディアに満ちていることに、読者は驚くであろう。あらゆる側面で行き詰まり、閉塞状況に陥った今日、過去を顧みることは決して逃避ではなく、むしろそこにこそ未来へと向かう豊かな源泉がある。それを生かさずに、どうしてこれからの日本を築くことができるのであろうか。そんな思いを共有できる人が、少しでも出ることを心から願っている。」(著者) 》
的場昭弘『大学生に語る資本主義の200年』祥伝社新書・2015年
《まだ誰にもわからない、資本主義の正体
資本主義の“終焉”が論じられ、トマ・ピケティの『21世紀の資本論』が世界的ベストセラーとなった。しかし、私たち資本主義社会の住人は、まだ自分たちの社会の正体を完全に理解できたとはいえない。
社会主義や共産主義の理念は、もう滅(ほろ)んでしまったのだろうか。その一方で、かつて冷戦の時代、資本主義社会と激しく対立したロシアと中国が、いままた欧米の文明と相容(あいい)れなくなっている。その理由は何なのか。
こういった問題は、ただ経済的な視点だけで解決できない。私たちは、資本主義という理念がいかにして生まれ、何によって拡張させられたかを知るべきだ。》
平岡正明『筒井康隆はこう読めの逆襲』CBS・ソニー出版・1983年
《狂気と感動の一大巨編!!
超作家ツツイ対超評論家ヒラオカ》
田久保英夫『しらぬひ(上)』福武書店・1990年
《神話的世界に彩られた恋愛長篇小説
支配されることなくあこがれ歩む魂をもつ女性との出会いが、苦痛と歓喜の同居する愛をもたらし、男に生の充実と詩魂を甦らせるのだが……。
田久保文学の到達点1200枚!》
田久保英夫『しらぬひ(下)』福武書店・1990年
《神話的世界に彩られた恋愛長篇小説
愛するものにさえ心を閉ざしたまま、自然の理と人間の理とのせめぎあいの中で、領せられぬ霊は彼岸の影の世界に行ってしまうのだろうか。
田久保文学の到達点1200枚!》
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