『静かな時間』は山中正巳(1937 - )の第4句集。栞:鈴木明・坪内稔典・的野雄。第1~3句集の抄出を併録。以下、抄出はそれ以後(2012年以後)の新作「静かな時間」の章から。
作者は「野の会」無鑑査同人、「船団の会」会員。
デボン紀の青を下さい五月の海
削り立ての鉛筆のやう今朝の冬
上等な紅茶を淹れて漱石忌
恋は過去形 死は近未来星冴ゆる
蛤になつてしまつた余の不覚
山茶花はらはらアヴァンギャルドは疲れるよ
反骨の杖を忘れて野に遊ぶ
夢精てふ言葉は美しき桃の花
日本国憲法九条さくら餅
嫌なことしない生活ところてん
七十年撃たざる国の晩夏光
白秋の静かな時間ブラームス
木枯しや集積回路のやうな街
読初はスヌーピーたちの人生訓
お言葉は陛下の叫び八月尽
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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