『翔ぶ母』は石原日月(1946 - )の第2句集。
作者は無所属。旧名、石原明。
父の挙手に応ふる母の夏帽子
病母寝ぬかくも夏野の光かな
まだ生きますと皺でささやく鰯雲
秋の虹寝たきりなれどあああああ
笑ひけり脳裡に芙蓉あるごとく
ななかまど音信絶えし脳となり
流灯の介護ベッドに流れ着く
花野にて母透きとほり行方知れず
母笑ふテレビのレミの夏料理
月見ればコロボックルのやうな母
流動食枯葉色して落ちて落ちて
朝焼けや木の陰すべて母の顔
よく燃ゆる体であられよ桜花
二人で逝き二人で笑ふ春の墓
墓の蓋開けてみんなで桜狩
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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