『遊絲』は増田まさみの第5句集。
作者は「青玄」を経て俳句同人誌「日曜日」、文芸同人誌「幻想時計」創刊。
かげろうや太古を奔るわが屍
青時雨からだを開く鳥の木も
印画紙の裏からひらく水中花
父の艦沈めて戻るあめんぼう
中空のまま死なせてと夕顔は
燃えさしの燐寸をくわえ鳥渡る
木の洞(うろ)に首を入れたる春景色
ことだまを二階へはこぶ蝸牛
糸瓜(ながうり)やあらぬ天よりぶら下る
晩秋の鳥籠のまま翔びゆけり
虚貝(うつせがい)ごまんの春の死に代わり
眼帯をして海ユリに逢いにゆく
空想の自爆ありけり浮いてこい
今生の秋晴れ地獄にわとりよ
鉦叩きすでに液体なるわれに
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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