『開落去来』は本井英(1945 - )の第4句集。2007年から2014年までの句を収録。
作者は清崎敏郎、星野立子、高木晴子に師事。「夏潮」創刊主宰。
胸鰭を扇づかひにちぬ屯ろ
月光にそれとありけり崩れ簗
熊鍋の果ててゆゆしく浮く脂
青鷺の鼓翼ゆさゆさ墜ちもせず
バレンタインデーと頭の片隅に
老人に菊花展あり昼酒あり
青唐辛子(アオトウ)をざつと炒める湯気辛し
女装したがる年頃の運動会
蜘蛛が囲を張らなくなりし庭の径
下萌を梨の枝影這ひまはり
なに育つ畝となけれど滑莧
湯豆腐のお湯にうふつと靨かな
日傘もう池の向かうに至りをり
秋空や展覧会のやうに雲
隈笹の隈のそだつも十二月
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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