『まぼろしのしつぽ』は牧原祐三(1956 - )の第1句集。
作者は結社・同人誌等への所属歴なし。朝日俳壇への投句のみらしい。
赤とんぼ心の先へすいすいと
描かれて在る「睡蓮」のモネのタッチ
なだらかな丘夢見つつ老いの秋
『田中裕明全句集』
早蕨や背筋伸ばして立ち尽くす
白桃や海辺の女輝ける
かなぶんがかなぶんを知るための闇
蓑虫や互ひを夢見ぶら下がる
葉牡丹や真中に波の寄せてくる
くるしくて蛍飛び交ふ始原かな
ボルヘスの盲目憩ふサングラス
忽然とものみなひかり水温む
筍や闇を纏ひて真直ぐなる
最後まで箱庭の中とは知らず
日の暮れて渚は素足記憶せり
渦巻ける世界にひとつ冬の月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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