『フラワーズ・カンフー』は小津夜景(1973 - )の第1句集。帯文:正岡豊、鴇田智哉。2013年11月から2016年4月までに発表した作品から314句と15首を収録。長い前書きと渾然となった連作を多く含む。
作者は結社・同人誌等への所属歴なし。
春てぶくろにおぼつかなくも棲む海か
即興の雨をパセリとして過ごす
夢殿やくらげの脚をくしけづる
ゆくりなき雪の重さの音叉かな
鳥交る墓群としてのアンフォルメル
影ばかり地をゆく夏のフラスコは
蜘蛛よりも甘く重なるだけのこと
あさがほのかたちで空を支へあふ
もがりぶえ殯(もがり)の恋をまさぐりに
金平糖こぼし地球を去りゆかむ
ふくろふの不在通知はなぜ海へ
たましひにばねある刑やあたたかし
あばらやがのつぺらぼうと戯れてゐる
金魚玉うなばら見ゆる文庫(ふみくら)の
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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