開成学園俳句部の部誌「紫雁」第14号(2016年9月)から。
先月行われた第19回俳句甲子園のレポート「俳句甲子園奮闘記A」「俳句甲子園奮闘記B」なども載っていて(結果は開成Aが優勝、開成Bが3位)、130頁余のやや厚い冊子。
俳句甲子園で使われた句、さらには個人優秀賞を得た句も含まれるが、それ以外から優先的に、各人一句ずつ引く。
以下、高二。
扇風機売場を平原と思ふ 山下真詩
シャワー浴ぶ貝から人に戻る途中 森 波瑠摩
残像のやうなタクシー明易し 笠原悠二
呟けばことばは月のものとなる 筏井 遙
くわじがちかくてひらがながくるひだす 板倉ケンタ
遠泳のいつも最後尾のこころ 山田風太
なまはげが隣の家に帰りけり 秋庭左右太
あちこちに水戯れて小六月 平野 郷
倫敦の雨を見てゐる子猫かな 岩田 奎
遠雷や液晶光るのみの部屋 原田 潤
以下、高一。
動乱の後は尾花のものとなる 渡辺 光
夏山を秘めてゐるなり川の音 郡司章太
栗だけを食つてさびしき栗おこは 折井森音
存在のほどけかけたる海月かな 横内 深
冷房の利かぬカレーとフォルテッシモ 須藤凪斗
以下、中学生。
うぐひす餅が丸文字のメニューかな 佐々木柊
師が一人堂々遅れ寒稽古 笹田陽太
短夜の跡をのこした東京駅 松井海翁
玉の汗呼び止められて声尖る 金子尚樹
以下、顧問。
あめんぼと影とかがやきつつ流る 佐藤郁良
秋めきて路面電車の音あらた 近藤 剛
コメント
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